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2020年東京オリンピック狂騒曲

放置されてきた観光業界の“伝統的課題”
解決なしでは五輪はただの「祭り」に終わる

仲野博文 [ジャーナリスト]
【第6回】 2014年4月11日
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昨年12月20日、日本を訪れる外国人観光客が初めて1000万人を突破した。東京五輪が開催される2020年までに、日本を訪れる外国人観光客の数を年間2000万人にしようというプロジェクトが観光庁主導で推し進められている。成長戦略の有望分野とされる旅行・観光産業は国内で年間約23兆円の消費を生み出している。東京五輪は観光産業にどのような影響を与えるのか? 外国人観光客の増加は何を意味するのか? キーパーソンとなる2人に話を聞いた。

星野リゾート・星野佳路代表に聞く
東京五輪が観光産業に与える影響

星野佳路・星野リゾート代表 Photo:DOL

 全国で事業を展開し、総合リゾート運営会社として業界の内外から注目を集める星野リゾートの星野佳路社長に話を聞いた。星野リゾートは3日、日本交通やベネッセコーポレーションら4社と共同で休日取得の分散化に向けた取り組みを行うと発表している。

――観光庁の発表では、すでに年間1000万人以上の観光客が海外から日本にやってきている。五輪が開催される2020年までにその数を倍にするという目標が打ち出されているが、それだけの数の観光客を受け入れる観光インフラはきちんと整備されているのか? 倍増する観光客への「おもてなしは」可能なのか?

 全く問題ないと思っている。1000万人を突破し、2000万人になるという予測だが、全くこの通りになるだろう。1000人突破のニュースは大きく取り上げられたが、実は香港や韓国やシンガポールといった国でははるか前に外国人観光客数が1000万人を突破している。日本を見てみると、小泉内閣時の2004年に約600万人で、それから10年で1000万人を突破し、数字の上では劇的な成長を遂げた。

 しかし、注意すべき点は、他の国もすべて同じような成長を見せていることだ。つまり、日本だけではなく、世界規模で旅行業界のマーケットが大きくなっているのだ。

 以前はG7の中間層以上の人々が海外旅行を楽しんでいたのだが、現在は新興国を含めて海外旅行を楽しめる中間層が劇的に増加している。観光庁がビザの緩和に動いた部分はあるが、日本の観光産業が強くなったといった話ではないと思う。

 1000万人から2000万人に増えたとしても、例えば韓国ではその頃すでに3000万人を突破している可能性もある。シェア争いで日本は負けているということに対する議論の方が重要ではないだろうか。

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


2020年東京オリンピック狂騒曲

2020年東京オリンピック開催が決定した。今後7年、競技施設をはじめとした様々な分野でのインフラ投資が期待されており、関連業界は早くも皮算用を始めた。東京以外の地方都市も、オリンピックで来日する外国人を取り込み、疲弊する地元経済の起爆剤にすべく、思案し始めている。一方で、建設現場は人手不足、人件費と建設資材の高騰でコストは増加傾向。2020年に向けて急速に少子高齢化が進む日本は、果たして東京オリンピックを無事に運営し、オリンピックの熱気を日本の活力に変えられるのだろうか。あらゆる関連業界の“狂騒”ぶりをレポートする。

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