はたして、米国を動かす一撃となるか。4月7日、日豪間のEPA(経済連携協定)交渉が、大筋で合意に至った。2007年に交渉を開始してから7年越しの成果である。
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焦点となったオーストラリアから輸入される牛肉の関税については、現在の38.5%から、冷凍肉は18年目に19.5%、冷蔵肉は15年目に23.5%まで下げる。その他に飼料用の小麦や乳製品の一定枠の関税が撤廃または削減され、砂糖なども将来の見直し対象とされた。また、コメは関税撤廃の対象外とされた。
一方で、オーストラリア側は自動車関税の75%を即時撤廃し、残る部分や自動車部品も3年目までには撤廃する。
「両国の利害関係者が納得できるギリギリの線。微妙なバランスの上に成り立つ、よく練られた合意内容だ」。みずほ総合研究所の菅原淳一上席主任研究員は、そう評する。
今回の合意は、日豪間の貿易促進もさることながら、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をにらんでの一石、という面が大きい。
日本としては、日豪EPAを先行させることで、関税の完全撤廃という主張を譲らない米国にプレッシャーをかけるというもくろみだ。他方、オーストラリアは、TPPが合意・発効するまでの間、農産物の対日輸出で米国より優位に立つことができる。「膠着しているTPP交渉を動かす、てこになり得る」(菅原上席主任研究員)との期待は大きい。