石油・天然ガスなどの大型プラントの建設で、これまでに70カ国で約2万件のプロジェクトを手がけてきたエンジニアリング会社の日揮。2014年3月期決算は連結売上高が6900億円、経常利益が740億円といずれも過去最高を更新する見通しにある。海外に軸足を置く日本の専業エンジニリング3社のうち、“独り勝ち”の状態を続ける日揮を率いる、川名浩一社長が胸中を明かした。

日揮社長 川名浩一 <br />「動じない強い心」で事に当たるかわな・こういち/1958年、神奈川県生まれ。慶応義塾大学経済学部を卒業後、82年に日揮に入社。入社2カ月後にインドネシアの現場に配属されて以 来、15年間を海外で過ごす。97年、アブダビ事務所長兼クウェート事務所長。2001年、ロンドン事務所長。04年、プロジェクト事業投資推進部長。 07年、新事業推進本部長。09年、常務取締役営業統括本部長。10年、代表取締役副社長。11年、代表取締役社長。大学時代は相撲部に所属し、得意技は 「左の上手出し投げ」。
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――今年2月中旬、マレーシアの国営石油会社であるペトロナスから日本企業として初めて、「FLNG」(船舶の形状をした洋上に浮かべる液化天然ガスの生産設備)の建造プロジェクトを韓国のサムスン重工業と組んで受注しました。これまで陸上にあるプラントに専念してきた日揮が、なぜ今、洋上の生産設備に出ていくのですか。

 やはり背景には、世界的に石油や天然ガスなどのエネルギー源へのアクセスが簡単ではなくなってきたということがあります。

 例えば、かつては石油を掘り当てれば、自噴といって、地下に閉じ込められていた圧力によって一気に吹き出すという現象がありましたが、今ではそのように回収が簡単な油田は掘り尽くされています。そこで、自噴しなくなった油田・ガス田に対して、水や二酸化炭素などの“強力な圧力”をかけて絞り出すように回収しています。いうなれば、「技術革新によって、掘り出せるようになった資源をかき集めている」としてもよいでしょう。