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通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄

前時代的な国際送金の現状
――ビットコインがそれを打破するか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第10回】 2014年4月24日
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 ビットコインが大きな役割を果たし得る1つの分野は、海外送金だ。

 現在の海外送金のコストは、かなり高い。しかも、利用者が負担すべきコストが必ずしも透明な形で示されていないので、どの程度の負担になっているかさえわからない場合が多い。そこで以下では、現在の国際送金がどのような仕組みで行なわれており、そこにどのような問題があるかを説明することとしよう。

国際送金で何が問題となるか

 国際送金には、国内送金の場合にはないさまざまな問題がある。問題の性質は、取引の種類や送金額などによってかなり違うが、まず最初に貿易決済について考えよう。この場合の問題は、つぎのようなことだ。

(1)取引相手が遠隔地にいるため、情報が十分でない。とくに問題なのは、初めての取引の場合などに、信用がおける相手かどうかがわからないことだ。

(2)商品が相手に届くまでに、かなりの時間がかかる。このため、送金は商品の出荷時か、それとも受取時かが問題となる。

(3)送金者と受取者が異なる通貨圏にいる。

(4)商品が、輸送途中で破損したり失われたりする危険がある。

 これらの問題に対処するため、貿易決済については、昔からさまざまな方法が工夫されてきた。

 以下では、つぎのような仮想例を考えよう。日本の輸出業者の花子は、アメリカにいる輸入業者のアリスに着物を輸出する。その代金をいま手に入れたいとしよう。

 なお、(4)のリスクは、保険によってカバーされるので、以下では考えないこととする。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄

インターネット上で使われている仮想通貨である「ビットコイン」にに対する関心が、急速に高まっている。この連載では、「ビットコインが何をもたらすにしても、それは通貨史上の大きな革命であるばかりでなく、まったく新しい形の社会を形成する可能性を示した」との認識に立ち、ビットコインの仕組みを解説し、それがもたらしうるものについて論じる。

「通貨革命か、それとも虚構か?「ビットコイン」を正しく理解する 野口悠紀雄」

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