巨大カジノを日本各地に作る「カジノ法案」が連休明けの国会で審議が始まる。共産・社民を除くすべての党が賛成に回る見通しで圧倒的な数の力で成立する。

 政治家だけでない。建設・不動産、機器メーカーから放送局、大学までが群がり、ひと儲けを企てる。海外から観光客を呼び込む成長戦略という触れ込みだが、主役はラスベガスやマカオのギャンブル資本だ。どう理屈をこねても、人からカネを巻き上げる賭博である。

 震災の傷は癒えず、原発事故も収まっていない日本で、政治やビジネスの中心にいる人たちが「社会の在り方」を脇に置き、われ先にと儲け話に走る。日本はいつからおかしくなったのか。

超党派の大所帯の「IR議連」

 政府も国会もカジノという言葉は使っていない。特定複合観光施設(IR)と呼ぶ。「IR議連」という集まりがある。正式には国際観光産業振興議員連盟。中身は「カジノ議連」である。

 最高顧問が安倍晋三、麻生太郎、石原慎太郎、小沢一郎。会長は細田博之。幹事長が岩屋毅、事務局長は安倍の腹心ともいわれる荻生田光一だ。役員だけで36人。自民党が中心だが、民主党から前原誠司、桜井充、公明党は佐藤茂樹が副会長として名を連ねる。維新の会、みんなの党、生活の党の議員も参加し国会議員は140人余が結集する。

「カジノ法案は、二段重ねになっています。今国会で審議するのは、カジノを合法化する制度を一年以内に作れ、と国に責務を課す推進法案。これを受け来年、詳細を定めた実施法案が決まる。2020年の東京五輪に間に合うように着工させるという段取りです」

 内閣府の職員はそう説明する。