4月1日に消費税率が5%から8%へ引き上げられてから、はや1ヵ月が経とうとしている。増税前から懸念されていた増税後の買い控えは、実際どれだけ起きているのか。アンケート調査を行うと、増税前の「駆け込み消費」と共に、増税後に「買い控え」を行なっている人は、意外なほど少ないことがわかった。今の日本では、17年ぶりの消費税増税にさえ、国民の消費マインドが大きく動かされることはなくなっているのだ。それが景気にとっていいことかと言えば、必ずしもそうではない。持続的な景気回復を目指す政府にとっての「本当の危機」は、こうした消費者マインドにこそあると思えるからだ。(取材・文/フリーライター・宮崎智之、協力/プレスラボ)
17年ぶりの消費税増税から1ヵ月、
懸念された「買い控え」は起きたか?
4月1日に消費税率が5%から8%へ引き上げられてから、はや1ヵ月が経とうとしている。至るところで商品やサービスの価格改定が行われ、「3%の重み」を感じている人も多いのではないか。
それを見越して、増税直前となる2月、3月には、日本中が「駆け込み需要」に沸いた。生活に必要な日用品が買い溜めされたのはもちろんのこと、購入予定のあった高額商品を前倒しで購入する動きもあった。鉄道各社も料金を値上げするため、定期券を3月中に購入した会社員も多かったようだ。たばこをカートンごとに用意し、陳列しているコンビニも多かった。
増税開始によって一時の消費ブームは終わったが、その一方、足もとで懸念されるのが、増税後の「買い控え」である。
BCNが発表した、デジタル家電販売数量実績の速報値(4月1日~7日)によると、駆け込み需要があった3月には前年同期比で181.7%だったノートパソコンの販売が、4月1日~7日の同期比では90.0%まで減速したという。
タブレット端末は157.0%から86.4%へ、インクジェットプリンタは143.1%から80.3%へ、液晶テレビは139.0%から67.0%へ、携帯電話・PHSは120.1%から65.8%へ、そしてデジタルビデオカメラは120.8%から64.6%へと、大幅に減少している。