業界別 半年先の景気を読む
【第7回】 2010年2月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
川原 慎也 [船井総合研究所 シニアコンサルタント戦略 コンサルティンググループ グループマネジャー]

なぜ「iPod」「ヒートテック」が
大流行しているのか

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 「いつかはクラウン」

 このフレーズを聞いて、懐かしいと思う方もまだまだたくさんいるのではないでしょうか。その時代の消費者の価値観として“クルマ”は自らのステイタスを表すシンボルだったと思います。18歳を過ぎるとほとんどの若者は自動車免許を取得し、社会に出るタイミングで自分の“クルマ”を購入する。まずは、カローラに乗り、収入が増えるにしたがって、マークIIへとランクアップ、いつかはクラウンを所有したい、と多くの日本人は思っていました。

 また、バブル絶頂期である1990年頃を思い出してみると、20代男性の趣味のランキング上位には必ず「ドライブ」というワードが入っていたように記憶しています。恐らく当時の若者は、「自分の車を持って彼女とデートする」ことに大きなステイタスを感じていたわけです。しかし、20代男性の“クルマ”の所有率は、2000年に60%程度あったものが、2007年には46%と大きく減少しており、趣味のランキングから「ドライブ」というワードは消え去ってしまいました。

 “クルマ”はいつのまにかつてのステイタスを失ってしまったのでしょうか?

 ちなみに現在の20代男性の趣味ランキングでは、1位:音楽鑑賞、2位:DVDによる映画鑑賞、3位:ゲーム、といったものが上位を占めているようで、こういった現象を捉えるだけでも、消費者の価値観というのは大きく変化していることがわかります。

 「時代の頭をつかむ」とは、このような消費者の価値観の変化を正しく認識し、自らのビジネス上で対応していくということです。時代の頭をしっかりとつかめる企業であるからこそ、半年先、1年先の状況に対するいくつかの仮説をたてることが可能となり、消費者のニーズに振り回されるのではなく、消費者のウォンツを読みきって応える策を講じることができるのです。

 “クルマ”に話を戻しますが、こと20代男性にフォーカスして考えると携帯電話の普及が大きな要因のひとつとして上げられると思います。携帯電話にかかる料金は削れないコストになっているからということももちろんですが、携帯電話は、若い男性たちにとって女性とのコミュニケーションのハードルを大きく下げるツールとなったのです。

 ある方のブログを拝見したときに、こんな記述がありました。「うちの親父がこんな話をしてたんだ。母さんを初めてデートに誘おうと思ったとき、まず電話番号を聞くのに相当苦労したよ。ようやく手に入れて、公衆電話から電話をかけようとするんだけど、親が出たらどう話そうと考えてるうちに結局かけられなかったり、とにかく緊張して大変だった。とか言ってたけど、全く理解不能。今はメールで一瞬だからね。」

 携帯電話は、結果として、女性を特別な存在から身近な存在へと変化させ、わざわざ“クルマ”のような武器に頼る必要が無くなった、そんな見方も出来るかも知れません。

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川原 慎也 [船井総合研究所 シニアコンサルタント戦略 コンサルティンググループ グループマネジャー]

1998年船井総合研究所入社。中小企業を中心に展開されていた船井総研のノウハウ(現場重視で売上・利益向上を具現化)を、大手企業にも展開できるコンサルテーションへと発展させた第一人者。
クライアント企業の本質的な課題に切り込んだ上で、社員を巻き込みながら解決策を具現化していくコンサルティングスタイルは、組織変革や社風改革の必要な現場から確実に高い評価を得ており、近年はM&A後の組織再編といった業務においてもその効果を証明している。
また、企業のさまざまな問題(マーケティング、組織変革、人事、教育研修等々)に応えるために、社内のタレントを積極的に活用し、必要であれば社外の専門化との連携も実施しながら推進されるプロジェクトコンサルティグにおいても、高い顧客満足を獲得している。

川原慎也の視点
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不透明な経済状況が続き、半年先の景気を読むことさえ難しい日本経済。この連載では、様々な業界やテーマで活躍する船井総研の専門コンサルタントが、業界別に分析し、半年先の景況感を予測していきます。

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