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田中秀明の予算の政治経済学入門

法人税減税と財政再建(前編)
減税すれば成長率は高まるか

田中秀明 [明治大学公共政策大学院教授]
【第8回】 2014年5月9日
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法人税減税を巡る政府内の検討が最終段階にさしかかっている。経済財政諮問会議、産業競争力会議、政府税調、党税調などで検討が進められ、その結論は6月に予定されている「骨太の方針」に反映される見込みである。経済成長の観点から法人税減税の必要性が訴えられているが、他方で、政府は財政再建を目指すとしており、どう調整するかが焦点となっている。

アベノミクスでは、実質成長率が今後、過去20年間平均の2倍となる前提であり、減税と財政再建については、法人税減税→高い経済成長→税収増→財政再建というバラ色のシナリオを描いている。果たして、我々はそれを信じてよいのだろうか。法人税減税と財政再建の二兎を追っているのは日本だけではなく、英国も同様である。しかしながら、その方法や内容については日英で大きな相違がある。本稿では、日英の比較も試みながら、法人税減税と財政再建のあり方について考える。前編では、法人税の現状や成長との関係に焦点を当てる。

日本の法人税は本当に高いか

 日本の法人税負担はしばしば高いと言われているが、どの程度高いのか主要先進国における法人税を比較しよう(表1)。まず、財務省が公表している法人税率(一般に「実効税率」と呼ばれる)は、日本が35.64%で、主要国の中では、米国を除いて高い水準となっている。実効税率の比較は簡単であるが、法人の正確な負担を正確に表しているとは限らない。

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田中秀明[明治大学公共政策大学院教授]

たなか・ひであき
1960年生まれ。1985年、東京工業大学大学院修了(工学修士)後、大蔵省(現財務省)入省。内閣府、外務省、オーストラリア国立大学、一橋大学などを経て、2012年4月から現職。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士、政策研究大学院大学博士。専門は予算・会計制度、公共政策・社会保障政策。著書に『財政規律と予算制度改革』(2011年・日本評論社)、『日本の財政』(2013年・中公新書)


田中秀明の予算の政治経済学入門

日本政府の抱える借金は、何とGDPの約2倍に達する。財政再建は待ったなしと、これまでに何度もトライされてきた。だが、いずれもうまくゆかず借金は膨らむばかりだ。なぜ、財政再建はとん挫するのか。財務省出身で、気鋭の財政学者が、予算策定から決算至る予算の一生に分け入り、制度・仕組みの問題点を指摘し、無駄をなくし、効率的な予算を実現するため方策を提言する。

「田中秀明の予算の政治経済学入門」

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