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対中国ODAが耕した畑で韓・仏企業が潤う実情
官民連携での海外市場開拓はどこまで期待できるのか

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第151回】 2014年5月16日
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 「官民連携」という言葉をよく耳にする。グローバルでの市場開拓においては、民間の力の及ばないところを「官」がフォローし、道筋をつけるという意味で期待が高い。資金調達をクリアし、現地人脈にわたりをつけられれば、企業は存分に本業に集中することができる。官民の両輪体制が実現すれば、日本の中小企業にとっても心強い。

 だが、この官民連携も現実は歯車がうまくかみ合っていない。

 東京に拠点を置く中小企業A社がアジアビジネスに乗り出したのは数年前のことだった。見本市に参加することからつかんだビジネスチャンスは瞬く間に広がり、インフラ整備事業の一環として、同社は本格的に現地でのオペレーションに乗り出すことになった。

 現地進出の足掛かりはできたものの、ビジネスの段階的な発展とともに資金需要はいっそう増した。しかし、零細にも近いこの小規模な企業にはまとまった資金など調達する術もなかった。せめて現地政府役人との人脈があれば、事業を好転させることもできた。

 公共事業的色彩が強いA社の取り組みがさらなる進展を見るには、現地政府の政策とのリンクは欠かせず、またカウンターパートのローカル企業とも密な連携が欠かせない。それには地元政府や地元関連企業がこの技術を持つ日本企業と向き合い、三方が足並みをそろえて積極的にコミットしていくべきだった。

 それを結びつけるのが、日本の「官」の役割でもある。吹けば飛ぶような中小企業が現地政府の扉を叩いたところで、一顧だにされないことは目に見えている。官民連携のキモは、中小企業の独力では克服できない現実の壁、その困難を少しでも低減させることにある。

 だが「厳しい現実」はA社の経営者をこう突き放した。

 「一社だけに肩入れはできない」

 これが「官」からのメッセージだった。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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