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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

【全3回短期集中考察:“民主化”と“反日”の関係(1)】
“民主化”で“反日”が緩和しない3つの理由

加藤嘉一
【第22回】 2014年2月12日
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中国共産党にとって
日本との関係は“生命線”

 「我が党は日本との関係をめぐる歴史教育を見なおさなければならない。さもないと、統治にとって不都合な状況が生じてしまうだろう。実際に、抗日戦争をどう書き綴るかという問題は、党上層部で真剣に議論されてきた」

 4年前の春節、中国国内で旧正月の年越しをしていた私は、中央と地方双方で共産党体制における重役を歴任した人物と向き合っていた。テーマは自然に日中関係に及び、私が中国の歴史教育における日本ファクターに関して質問をすると、その人物は深刻な表情で上記のような主張を返してきた。

 “不都合な状況”とは何を指すか。

 さまざまな解釈があるだろうし、時代や環境の変化に伴い、その状況も変化していくに違いない。少なくとも言えることは、約65年間中華人民共和国の“第一党”に君臨し続けた中国共産党にとって、「日本をどう位置づけ、人民に語り継ぐか」という問題は、歴史教育や対外交流という範疇を超えて、自らの生命線にまで影響を与え得るイシューであるということだ。

 実際、2005年や2012年に中国各地でドミノ式に発生した“反日デモ”は、(その背後に複雑に存在する共産党内の権力闘争や政商関係をめぐる利害関係はさておき)治安管理や社会秩序を含め、本連載でも連続的に扱ってきた“安定”という中国共産党が目下最重要視するファクターを脅かす不安定要素であったことは疑う余地がない。

 “反日デモ”がトリガーとなって社会が不安定化したり、日本だけでなく、欧米を含めた海外からの投資家やビジネスマンが“引いて”しまったりするリスクも内包している。その意味で、日本との関係が党指導部で往々にして“生命線”をめぐる議論に発展するのは自然なことであり、かつ必然性を伴っている。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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