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中国経済の「回復期待」は楽観的?
あまりにも弱い国内消費への不安

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第74回】 2009年4月21日
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 足許で、中国経済の減速が続いている。今年1-3月期のGDPは前期対比年率でプラス6.1%と、昨年10-12月期の6.8%からさらに低下した。1-3月期の成長率は、四半期ベースの統計が開始された1992年以降で最低の伸び率である。

 つい最近まで二桁成長を続けて来たことを考えると、昨年秋口から、中国経済に強烈なブレーキが掛かっていることがわかる。「今まで高速道路を自足100Kmのスピードで走ってきた車が、一般道路に出て60Kmに速度を落とした」というイメージだろう。

 今回の中国済の急速な減速の背景には、輸出依存度が高い中国経済の特性がある。一般的には意外に認識されていないのだが、実は、中国経済の輸出に対する依存度は想像以上に高い。

 国内の個人消費がまだ十分に伸びていないため、“世界の工場”である中国の輸出割合が高いのは、当然と言えるかもしれない。2007年の実績で見ると、GDPに占める輸出総額の割合は約36%となっている。

 わが国の約18%、米国の約9%などと比較すると、中国経済の輸出依存度の高さが、主要国の中で傑出していることがわかるだろう。

 つまり、「最近までの中国の高い成長率を支えて来たのは、輸出の大幅な伸びだった」ということに他ならない。

 ところが、昨年のリーマンショック以降、世界経済は急速に悪化した。それに伴い、中国の輸出にも急ブレーキが掛かったのだ。

 その輸出のマイナス分を、政府や民間部門の投資によって補い、何とか6%台の成長率を維持しているのが、今の実態だ。

 そんななか、直近では「中国経済の早期回復」への期待が、盛り上がり始めた。これから中国政府は、50兆円を超える景気対策を実施して景気浮揚を図り、高成長を維持するとしているからだ。 だが、果たしてその期待は現実的だろうか?

 問題は、前述のように、「中国経済が輸出主導型から、国内需要主導型の経済構造へモデルチェンジを図ることができるか否か」だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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