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週刊・上杉隆

ガソリン“暫定税率”は永久に続くのか?永田町の欺瞞を許すな!

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]
【第17回】 2008年2月14日
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 永田町は不思議な世界だ。時として世間の常識が通用しないばかりか、その真逆のことがいくらでも罷り通る。

 たとえば、政治家が、「前向きに検討します」や「善処します」などと言う時は、まず間違いなく、何もしないという意味に受け取ったほうが良い。また、演説などで、「国民の皆様のために」などと言った時も注意が必要だ。その真意は「自分の選挙のために」であり、実際に発言を置き換えてみれば、案外すっきりといくものである。

 これらのものを「永田町用語」という。最近でも、その例として“暫定”と“恒久”が挙げられる。

 『広辞苑』によれば、“暫定”とは、〈本式に決定せず、しばらくそれと定めること。臨時の措置〉とある。一方、“恒久”は、〈久しくかわらないこと。永久〉となっている。その通りであるならば、次の事例は一体どうやって説明すればいいのだろうか。

すぐ消えた「恒久減税」と
半永久的な「暫定税率」

 1998年、日本はバブル崩壊後の株式市場の長期低迷にいまだ喘いでいた。小渕恵三首相(当時)は、野菜の蕪を持ち上げて、「カブ、上が~れ」と叫ぶ涙ぐましいパフォーマンスで景気回復を願った。果たして、小渕内閣は、中小企業への貸し渋り対策や地域振興券配布などを含んだ42兆円規模の緊急経済対策を実施し、景気浮揚策の一環として所得減税も導入した。そして、その減税は“恒久減税”と名づけられた。

 だが、それがいつの間にか、“恒久的減税”と「的」が挿入され、昨年には、景気は回復基調にあるとして、“恒久”はわずか8年間の短い生涯を閉じたのである。

 一方で、1972年のオイルショックを受けて、2年間の暫定として、田中角栄首相(当時)が導入したガソリン税(租税特別措置法)の暫定税率は、その後32年間にもわたって維持され続けている。1974年以降は、5年間ごとに延長が繰り返され、現在、与党からは、さらに10年の再延長を求める法案が提出されている。

 仮に10年という延長法案が成立すれば、実に42年間、つまり、約半世紀近くにわたって“暫定”が続くことになる。

 つまり、永田町での“恒久”とは、10年ほどの期間を指し、逆に“暫定”とは、半世紀、場合によってはそれ以上の半永久的な期間を指すのである。

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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


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