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クリエイティブイノベーションの実践 新たな事業推進メソッドの提案

ストーリー・ウィーヴィングによる
製品開発の新しいかたち

takram design engineering,渡邉康太郎 [デザインエンジニア]
【第1回】 2014年6月9日
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複数人のチームでクリエイティブな仕事を進めていく上で見過ごされがちな、「コンセプトの落とし穴」とは? 仕事に置けるクリエイティビティを阻害するものは何か? 従来型のいわゆるコンセプト運用は、往々にして「変更不可能なマニフェスト」か「後付けのPRストーリー」となってしまう。「ものづくりとものがたり」の相互作用によって、その不都合をいかに解決するか。

本連載では、東京を拠点に活動するクリエイティブイノベーションファーム、takram design engineering。Takramが、メーカ企業などとの製品開発プロジェクトを通して作り上げてきた、イノベーション創造にかかわる方法論やノウハウ、有効な手法などを紹介していく。まず最初に「ストーリー・ウィーヴィング」を紹介する。ストーリー・ウィーヴィングとは、「プロジェクトの初期に設定したコンセプトをその後も柔軟に練り直し続け、よりよいものに洗練させていく」手法である。連載前半は、ストーリー・ウィーヴィングの方法論についての概説。その後は、その他の手法、テクニックや視点を、実例を交えながら紹介していく。

従来型の「コンセプト」が抱える課題

 プロジェクトの初期段階で設定されたコンセプトと、実際に完成したプロダクトの内容が完全に一致しない……。製品開発の現場、プロダクトデザインの現場では、そのような問題に直面することが多いのではないだろうか。

 企画立案から始まり、デザイン・設計へと順を追って段階的に進行する業務においては、多くの場合、プロジェクトのどこかしらのタイミングでいわゆる「コンセプト」が設けられる。プロジェクトの最初期に設定される場合もあれば、後期の場合もある。しかしこのようなコンセプトは往々にして、下記のいずれかの道を辿ってしまう。

ケース1)プロジェクトの最初期に決定し、その後は一切手を加えてはならない「マニフェスト」となる場合

図1 ケース1:従来型の「コンセプト先行型プロジェクト運営」

 ケース1は、プロジェクトの最初期にコンセプトを設定し、状況に関わらず、その内容に以後一切変更を加えない、というパターンである。しかしどんなプロダクトであれ、複数の部品やサービスが一体として統合され始め、最終形態へと近づいた時点で、初めて見出される気づきというものがある。すると、最初期に設定したコンセプトが一字一句そのままの状態では成立しない、という出来事もままあるだろう。

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takram design engineering

 

2006年に設立された、東京に本拠地を置くクリエイティブ・イノベーション・ファーム。「Transcending Innovation」をキーワードに据える。

 

創造的なデザイン能力と高度な工学技能を併せ持つ「デザインエンジニア」の集団。世界中の様々なビジネスや組織に対して、先進的なコンセプトや製品・サービスのデザインと開発を提供する。デザインとエンジニアリング、具体と抽象、仮想と現実を行き来することで、エッジの利いたアイデアを実現可能なコンセプトへと昇華させ、実際に世の中で機能する製品やサービスとして具現化させる活動を行っている。Microsoft Innovation Award最優秀賞、独red dot award: product design 2009など受賞多数。

 

渡邉康太郎 [デザインエンジニア]

 takram design engineeringのディレクター/デザインエンジニア。アテネ、香港、東京で育つ。慶應SFC在学中の起業、ブリュッセルへの国費留学等を経て2007年よりtakram参加。国内外の美術館への作品出展から、企業ブランディング、新規サービスのUXデザインまで広く手がける。代表作に東芝 初のミラノサローネ展示「OVERTURE」、NTTドコモ「iコンシェル」UI、虎屋・未来の和菓子「ひとひ」、ドン・ペリニヨンのイベント「Creative Collision」など。

 

著書「ストーリー・ウィーヴィング」(ダイヤモンド社)は多くのプロジェクトを通して体系化した独自のプロジェクト運営理論。「ものづくりとものがたりの両立」を軸に、国内外の企業・大学に向けて研修、ワークショップや講義を展開。香港デザインセンターIDK客員講師。独red dot等受賞多数。その他「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING. 領域横断的アプローチによるビジネスモデルの設計」(BNN新社)の監修・解説など。

 


クリエイティブイノベーションの実践 新たな事業推進メソッドの提案

 takramという21世紀的なクリエイティブファームが、デザインとエンジニアリングの融合を軸に実践しているさまざまな実務経験を通して作り上げてきた、イノベーション創造へのアプローチを紹介する。

 

「コンセプトの落とし穴」とは?

 複数人のチームでクリエイティブな仕事を進めていく上で見過ごされがちな、「コンセプトの落とし穴」とは? 仕事に置けるクリエイティビティを阻害するものは何か? 従来型のいわゆるコンセプト運用は、往々にして「変更不可能なマニフェスト」か「後付けのPRストーリー」となってしまう。「ものづくりとものがたり」の相互作用によって、その不都合をいかに解決するか。

 本連載では、東京を拠点に活動するクリエイティブイノベーションファーム、「takram design engineering。Takram」が、メーカ企業などとの製品開発プロジェクトを通して作り上げてきた、イノベーション創造にかかわる方法論やノウハウ、有効な手法などを紹介していく。

 まず最初に「ストーリー・ウィーヴィング」を紹介する。ストーリー・ウィーヴィングとは、「プロジェクトの初期に設定したコンセプトをその後も柔軟に練り直し続け、よりよいものに洗練させていく」手法である。連載前半は、ストーリー・ウィーヴィングの方法論についての概説。その後は、その他の手法、テクニックや視点を、実例を交えながら紹介していく。

 

「クリエイティブイノベーションの実践 新たな事業推進メソッドの提案」

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