毎年恒例となったアップルの開発者向けカンファレンス「WWDC」が、米国サンフランシスコで6月2日(現地時間)に開催された。

 WWDCは近年、アップルが新しいプロダクトを発表する場としても位置づけられており、今年も「iPhone6が発表されるのか?Retinaディスプレイ搭載のMacBookAirは?」という期待まじりの声があちこちで聞かれた。

 結果としては、あちこちで既報の通り、新たなハードウェアプロダクトの発表はなし。最終消費者に直接関係するところでは、iOSのバージョンアップと、それに伴う機能強化の発表に終始した。詳細はすでに多く報じられているので、たとえばこの記事などを参照されたい。

 新端末への期待を寄せる向きにすれば、肩すかしとなってしまったかもしれない。しかし今回の発表と、それに先だって発表されたbeatsの買収から、アップルが目指す今後のスマートフォンエコノミーの姿が、徐々に見えてきたように思える。

Swiftが狙うもの

 今回のWWDCで、特にiOSアプリをはじめとするソフトウェアの開発者から注目を集めたのが、Swiftと呼ばれる新しいプログラミング言語の発表だ。これまで、iOSやMacOSのアプリ開発で用いられてきたObjective-Cという言語を置き換え、より近代的な実装が可能だという。

 本連載の読者にエンジニアの方は少ないと思うし、私自身もまだその全容を把握できているわけではないので、本稿での技術的な説明は割愛させていただく。概要はこのあたりを参照いただくのが正確だろう。

 ただ、Swiftの技術的な構造に関する概要を眺めているうちに、私も久々にプログラミングで手を動かしたい、という気分になった。個人的なことだが、慶応SFCという、当時は「インターネット天国」と言えるような環境で、私自身もC言語やPerlを使って、簡単な検索エンジンを作ったり、メールのやりとり等を統計処理するプログラムを作って、いくつか世にも送り出した。その時の記憶が、不思議とよみがえってきたのだ。