さらに、民主党の支持母体である連合傘下の労働組合からも、鳩山発言批判が相次いだ。電力総連の南雲弘行会長は9日の北九州市での定期大会で、来賓として出席した民主党の直嶋正行政調会長を前にして、「(鳩山代表の中期目標の)実現可能性には疑問を抱かざるをえない」「数字上の見せやすさだけが先行している」と痛烈な批判を展開した。

 また、自動車総連の西原浩一郎会長は3日の記者会見の段階で、すでに、鳩山発言の土台となった民主党のマニフェストの問題点を取り上げて、「雇用への影響や国民負担の問題を含めて、十分な情報提供がなされているとは思えない」と批判していた。

いたずらに高い目標設定は
海外の環境原理主義者を儲けさせるだけ

 ここで話を進める前に、はっきりさせておきたいことがある。それは、筆者が、鳩山発言を称賛する海外の反応だけでなく、強い反発をする経済・労働界の反応のいずれにも与する気はないということだ。

 その理由のひとつは、さすがに国連やIPCCまで同類だとは言わないものの、海外から日本に高い目標設定を求めてきた環境専門家と言われる人々の中に、投資銀行や投資ファンドなどの金融出身者が圧倒的に多いことがあげられる。そして、その専門家たちの動機には、首を傾げざるを得ない面が多いとされているのだ。

 実際、麻生太郎現政権が今年6月に中期目標を公表した際、その目標が海外からの排出権の購入を前提としない、国内における技術開発などの施策だけで目標を達成しようとする「真水ベース」だったことに対し、海外の環境専門家の多くが失望感を隠そうとしなかった事実がある。

 失望した理由は、日本が大量に排出権を購入しないと、海外の投資銀行やファンドが将来のメシのタネと見込んで巨額の先行投資をしている排出権が無価値になり、国際的な排出権取引が成立しなくなることがある。そこには、海外の環境原理主義者たちの台所事情が透けているのである。

 ちなみに、こうした環境原理主義者たちの多くは、中国の大口のCO2排出事業者と連携して、すでに大量の排出権を買い占めているとされる。つまり、将来、日本に、排出権を高値で売却することを目論んでいるとされるのだ。

 こうした金儲け狙いの環境原理主義者たちを儲けさせる義務を、日本が背負う必要などまったくない。本音と建て前をきちんと見分ける眼力は必要だ。日本がいたずらに高い目標を設定することは、そうした金儲け原理主義者たちを喜ばせるだけである。むしろ、排出権取引の欺瞞に乗せられる愚を避けて、本当は自力でCO2を削減したくても、資金が乏しく、そういう努力をできない、真面目な国々を援助する仕組みを真摯に検討することこそ、本来の日本の役目とするべきである。

 逆に言えば、GDP世界第2位の地位を、今後1、2年のうちに、日本から奪取しようというほどの国力を付けた中国には、日本の高度な省エネ技術を正当な対価を払って導入して貰うべきなのだ。日本国民に重い負担を強いながら、排出権取引で中国に多額の資金を供与する必要性など見出せない。