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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

NHK不毛な内部対立の裏に
ポスト橋本を狙う海老沢派幹部の影

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第1回】 2007年10月19日
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3年前に不祥事が続出して以来、今なお、揺れ続ける「公共放送NHK」に、また新たな火種が燻り始めた。任期切れまであと3ヵ月と迫った橋本元一会長の後継者選びが、その火種だ。驚くべきことに、復権を目指す海老沢勝二前会長の側近たちが跋扈、このところの執行部と経営委員会の相互不信の火に油を注いでいるという。NHKでは、いったい、いつまで視聴者不在の迷走が続くのだろうか。

 「不十分な点を指摘し、再検討を求めてきた。が、執行部が修正、補充した内容も十分と言えない。そのため、5ヵ年経営計画案を承認できず、執行部に、更なる検討をした上で、あらためて提案するよう求める」――。

 9月25日。NHKでは、経営委員会(委員長・古森重隆富士フイルムホールディングス社長)がこう表明して、橋本会長の執行部が作成した2008年度からの5ヵ年経営計画の承認を拒否する前代未聞の“事件”が起きた。
 
 新聞が「NHK経営委、50円値下げを一蹴」「値下げ案に経営委がNO!」などと衝撃的に報じたので、ご記憶の読者も多いだろう。これにより、NHKの経営を担当する執行部は、当事者能力を失う事態に陥った。

 ただ、執行部を除くNHKの内部では当初、この措置を、「当然のことだ」(NHK中堅幹部)と受け止める向きが少なくなかった。というのは、「任期が来年1月で切れる橋本執行部が、次期計画を決定し、次の執行部の手足を縛るのはおかしい」「現在の経営計画(3ヵ年計画)がまだ1年分残っているのに、急ぐことはない」といったムードが支配的だったからである。

 加えて、菅義偉前総務大臣が、NHKの受信料の支払いを法的に義務付ける代わりに、2割の値下げを要求したことをきっかけに、執行部が次期計画の目玉として7%の値下げ案を持ち出したことについても、「もっと他にやるべきことがあるのではないか」「具体的な財政面での裏付けが示されておらず、実現性に疑問がある」「緊急避難措置だったはずの職員の給与カットが継続しているのに、優先順位が間違っている」と受け止めた職員が意外と多く、経営委員会が比較的支持を保っていたのである。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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