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国を挙げての選手養成システム
「エリートアカデミー」は成功するか?

――アカデミー第1期生が、全日本卓球選手権で“表舞台”に登場

相沢光一 [スポーツライター]
【第42回】 2009年1月20日
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 先週行なわれた全日本卓球選手権が異例といえるほど注目を集めた。

 人気の主役はやはり福原愛。照井萌美と組んだダブルスは、北京オリンピック代表の平野早矢香と「愛ちゃん2世」と呼ばれる15歳の石川佳純のペアと対戦し敗れたが、シングルスでは石川にリベンジし、会場の東京体育館を沸かせた(福原は準決勝で、元中国代表で帰化選手の王輝に敗退。優勝は平野)。

 福原・石川に続くアイドル候補が次々に現れたことも追い風になった。ジュニア女子シングルスでは、8歳の平野美宇が高校生を破る大金星。これまで福原が持っていた全日本最年少勝利記録(10歳)を更新した。また、小学6年の前田美優は高校生1人、大学生2人を相手に3勝。4回戦で社会人選手に敗れたが、その快進撃に「愛ちゃん3世」と呼ばれるようになった。

中学生にして日本ベスト4の快挙
「エリートアカデミー」の第一期生

 2人の新たな天才少女の出現の陰に隠れて目立たなかったものの、他にも注目に値する活躍を見せた選手がいた。日本オリンピック委員会(JOC)「エリートアカデミー」所属の谷岡あゆかと鈴木李茄である。

 ふたりは現在中学2年生だが、ダブルスでは1回戦で高校生、2・3回戦で大学生、4回戦でシードの高校生、5回戦でシードの大学・社会人ペアを撃破。そして準々決勝では強豪・日本生命の社会人ペアまでも破ってしまった。準決勝は優勝した平野・石川組に敗れたものの、中学生にして日本のベスト4。これは快挙といえる。

 「エリートアカデミー」という名前は、聞き慣れない方も多いかもしれない。昨年4月に開校された新設チームである。運営するのはJOCで、その目的は

■オリンピックをはじめとした国際大会で活躍できるトップアスリートを育成する

■世界に通じるアスリートとしてのスキル教育を行なうとともに、将来にわたり日本を代表し社会で活躍できる人材育成のための環境を整備する

ことである。

 対象は中学生。全国から有望な小学生を選抜し、東京都北区に昨年オープンしたトップアスリートのためのトレーニング施設・ナショナルトレーニングセンター(NTC)で英才教育を行なう。

 開校時に募集したのは卓球とレスリングの2競技。現在所属するのは卓球が6人(男子4人、女子2人)、レスリングが5人(男子1人、女子4人)の計11人。彼らは親元を離れ、NTCを拠点に生活している。近隣の公立中学に通うが部活には参加せず、競技の練習は設備の整ったNTCで専属のコーチの指導のもとで行なう。生活費や学費はすべてJOCが負担。いわば国が運営するトップアスリート養成所である。なお、今春からはフェンシング、来春にはバレーボールも対象競技になる。

学校頼みの選手育成
には問題点も・・・

 日本の場合、スポーツ選手の育成は主に学校の部活に頼っていた。アスリートの多くは、親の影響などで小学校年代に競技を始める。中学はその部活がある学校に進学。大会で好成績を収めると強豪高校に進む。よりよい指導者と練習環境を求めて、全国どこへでも行くのだ。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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