ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

ソニーの背中を見ていたアップルがなぜ王者に?
日本企業に足りない“先行者不利益”という戦略的思考

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第10回】 2014年6月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

真にイノベイティブな企業はソニー
アップルはソニーの背中を見ていた

 真にイノベイティブな企業はソニーであった。アップルはソニーの背中を見ていた――。

 多少、過激すぎる発言かもしれない。筆者がとんちんかんなことを言い始めたと思われても仕方ないだろう。

 それほどアップルは常にイノベイティブな雰囲気に溢れ、顧客を魅了する革新的な製品とサービスを投入してきた。iPod、iPad、iPhone、iTunesなど、数々のヒットを積み上げてきた。国家予算並みの現金を保有し、アップルがどこの企業に発注を出すかで部品メーカーの株価が変動するまでになった。

 一方、ソニーはかつての輝きを失い、慢性的な赤字に苦しみ、リストラを繰り返す。看板事業の1つであったPC「VAIO」の事業売却も決定し、創業者も関わった伝統事業であるテレビを子会社化し、目立ったヒット商品も出せずに悶々としている。各メディアからは、資産の切り売りで乗り切る「延命経営」と揶揄されている。

 現在の2大企業の状態を見比べれば、「真にイノベイティブな企業はソニーであった。アップルはソニーの背中を見ていた」という意見など、一笑に付されても仕方ない。

 しかし筆者は、ソニーの事業や製品を、スティーブ・ジョブスがケーススタディーしていたように思えて仕方がない。ジョブスがソニーの新商品を見て、こう呟いていたと思えてならない。

 「大丈夫。そう長くは続かない。発売が早すぎる。市場が受け入れるまでにはまだ時間がかかる。消費者の反応をゆっくり観察させてもらうよ」

 自転車のプロロードレース、ツール・ド・フランスでは、チームのエースは常に2番手や3番手を走行する。先頭は風圧を受け、体力の消耗が激しいからだ。そしてタイミングを見計らい、アタックを仕掛ける。エースがマイヨジョーヌ(個人総合成績1位の選手に与えられる黄色のリーダージャージ)を受賞すれば、それはチームが受賞したことと同義になる。エースの勝利のために、チームが犠牲となる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

⇒バックナンバー一覧