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今週のキーワード 真壁昭夫

ユニクロ値上げに見る人手不足・物価上昇観測の真贋
景気回復期待の“バンドワゴン効果”はいつまで続くか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第331回】 2014年6月24日
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低価格路線の象徴・ユニクロまでが値上げ
増税後も落ち込まない消費者心理の背景

 今まで徹底した低価格路線で走ってきたユニクロが、6月末から既存商品の価格を5%程度引き上げるという。今後、ハムや小麦粉、チョコレートやアイスクリーム、自動車保険や航空運賃まで値上げは目白押しで、わが国のデフレに少しずつ変化が出ている。

 この背景には、ベアの実施や賞与増額などによって消費が堅調な展開になっていることがある。需要が底堅い動きを示しているため、企業が価格を上げやすくなっているのだ。

 実際、4月の消費税率引き上げ分を価格に転嫁してみたところ、予想以上にすんなり消費者に受け入れられたという感覚だろう。企業側とすれば、そうした消費者の行動を上手く使わない手はない。

 これから、今までじっと我慢してきた原料価格の上昇などを価格に展開する動きは、さらに鮮明化することが予想される。わが国経済の動きを読む上で、“物価上昇”が重要なキーワードになるだろう。

 もう1つ忘れてはならないキーワードは“人手不足”だ。2012年11月以降、わが国経済は循環的に上昇局面を迎えていることもあり、建設や運輸など特定の分野で働く人が足りない状態、“人手不足”が鮮明化している。

 今回、ユニクロは非正規社員1万6000人を正規社員とする。この背景には、“人手不足”の深刻化で、労働条件を改善しないと人が集まりにくい状況がある。ユニクロに限らず、今後多くの企業は、賃金上昇のコストアップ分を価格に転嫁しようとするはずだ。

 賃金の上昇は企業にとってコストアップ要因だが、我々庶民にとっては給料の上昇というメリットになる。それによってさらに消費が押し上げられるようになれば、わが国の経済は本格的な好循環に入れるかもしれない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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