エコカーの代名詞となったプリウス。そのプリウスに、ブレーキをめぐるリコールが発生。品質の高さを誇っていたトヨタへの信頼を揺るがす大問題となっている。

 アクセルペダルの不具合などで、全世界でのべ1000万台にのぼるリコールを行なったトヨタ自動車。日本でもプリウスのブレーキをめぐるリコールの対応に追われている。

 品質の高さを誇っていたトヨタへの信頼を揺るがす一連のリコール問題をめぐっては、消費者の声に対する反応が鈍かったことも問題を大きくしている。トヨタはなぜここまで追い詰められてしまったのか。今回の問題で、日本企業は何を教訓として学ぶべきなのだろうか。

世界最大の自動車メーカー
トヨタの盲点

 2年前、GM・ゼネラルモーターズを抜き、世界最大の自動車メーカーとなったトヨタ。生産台数は2000年代に急増。毎年60万台のペースで増えていった。その急拡大を支えていたのがリコールの震源地アメリカでの生産だった。トヨタは現地化を進める中で、地元の部品メーカーとの取引を増やしてきた。

 今回リコールの対象の1つとなったアクセルペダルの部品。トヨタはこの部品について、日本の部品メーカーとアメリカの部品メーカーCTSの2社から調達。このうち、CTS社製の部品に不具合が見つかった。

トヨタが、日米2社から調達していたアクセルべダル。左が今回のリコールの原因の1つとなった米CTS社製。右は日本製。2社の部品は、形はもちろん、構造も摩擦に対する強さも大きく違う。

 アクセルペダルは本来、踏みこんだ後にバネの力で戻るようにできている。しかし、この部品の先端の接合部は、長期間使うと磨り減ってゆく。さらに冬季などに冷えた車内を暖房で一気に暖めた際、そこに結露が生じて水滴がつく。すると部品の先端が貼りついて離れにくくなり、最悪の場合、アクセルを踏み込んだ状態のまま戻らなくなるおそれがあるというのだ。

豊田章男
同じ部品をなぜ、設計の違うアメリカのメーカーから調達したのかという質問に答える豊田章男社長。「現地調達による現地雇用拡大で、地域社会への貢献を果たしたかった」と語った。

 2社の部品は、形も構造も大きく違う。摩擦に対する強さも違う。日本製は摩擦に強く、今回のような不具合が起こりにくい構造となっている。同じ部品をなぜ、設計の違うアメリカのメーカーから調達したのか。豊田章男社長は、

 「部品も現地調達を増やしてゆくことが、現地の雇用を拡大することにつながる。車作りを通じて地域社会に貢献することがベースにある」

と説明した。