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追跡!AtoZ ~いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント

【密着・村上龍&瀬戸内寂聴】
「自分のメッセージを、より広く深く届けたい」電子書籍革命の作家たち

NHK「追跡!AtoZ」取材班
【第67回】 2011年5月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 大震災が起きる前、追跡チームは、「急速に普及する電子書籍が私たちの生活をどう変えるのか」を取材していた。

様々なメーカーから電子書籍を読める端末が発売。文芸書からビジネス書、雑誌にいたるまで作品数も劇的に増加。読書のスタイルは大きく変わり始めている。

 電子書籍革命と言われ、新しいツールが次々に登場。読書のスタイルは劇的に変わろうとしていた。インターネットでダウンロードした数千冊もの本が、一台の端末に入る。印刷や配送のコストがかからないため、本の価格が大幅に安くなる。膨大な数の本や雑誌が次々に電子化されていた。携帯電話で読める電子書籍も人気を集め、可能性が広がっていった。

自ら出版社を設立。
村上龍がめざす文学革命

 その中で追跡チームが注目したのは、いち早く電子書籍に飛び込んだ作家、村上龍さん。純文学からビジネス書まで、常に時代の先頭を走ってきた。初めて電子書籍で出した作品が今年、歴史ある文学賞を受賞。授賞式のスピーチで、さらなる創作活動への意気込みを語った。

 「外部に向かってこう、ぶっとんでいくようなものを、これからも書き続けたいと思います」

 受賞作の『歌うクジラ』。電子書籍で新たな表現方法を追求する村上さんの先駆的な作品だ。背景に流れるのは、坂本龍一さんが手がけた重厚な音楽。画面を指でなぞると、紙の本のようにページをめくることができる。小説の節目には、近未来をイメージするCGがあらわれ、物語の世界に読者をいざなう。発売から2ヵ月で1万冊のヒットになった。

いち早く電子書籍に飛び込んだ作家、村上龍さん。初めての電子書籍作品『歌うクジラ』が文学賞を受賞。自ら電子書籍の出版社を設立し、音楽や映像を組み合わせた実験的な作品作りに取り組んでいる。

 『歌うクジラ』で手応えを感じた村上さんは、さらに実験的な作品に取り組むため、プログラマーやミュージシャンと組んで、自ら電子書籍の出版社を設立。文学に革命を起こそうとしていた。

 2月。制作していたのは、夢と現実の狭間にこだわった電子書籍だ。物語は、夢で見た光景の朗読から始まる。

 (文章が浮かび上がると同時に、ノイズまじりの朗読が始まる)
「ジジジジジ… 夢のほんの一部。ぼくの快楽の単位を親しい女性が…」

 夢はやがて覚め、現実に戻る。その境目を村上さんは音で表現しようとしていた。

 「(ピアノ音)ピーン!」

 夢から覚めた瞬間の音。音色がイメージに合わない。

 「(ピアノ音)ピーン!」

 「あ、変えた方がいい、変えた方がいい」

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毎回、担当ディレクターが取材内容をもとに執筆、番組内容を再現。
記事の後半では、元社会部記者で「週刊こどもニュース」のお父さん役も務めた番組キャスターの鎌田靖解説委員が、「キャスター日記」として取材を振り返りながら総括する。
◎番組ホームページは、こちら


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政治から犯罪、社会問題まで、読者がいま一番知りたい話題を徹底追跡。その背景に迫ることで、時代を読み解いていく。NHKで放送中の同名ドキュメンタリー番組をウェブ用に再構成してお届けします。

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