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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

“読めない”ことが新たなリスクへ
いま、習近平は何を考えているのか?

加藤嘉一
【第31回】 2014年7月1日
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思いついたらすぐ行動
胡錦濤と違う習近平

 「習近平研究だ。あの男がどういう人物で、何を考えているのかを知ることが、昨今の中国政治を理解する上でもっとも重要なことだ」

 以前、私が「中国民主化研究を進めるに当たり重要なことは何ですか?」とアドバイスを求めた広東省の政府官僚は私にこう回答してきた。

 胡錦濤政権から習近平政権に移行する過程における一つの特徴は、前者に比べて、後者においては国家指導者である習近平というリーダーの性格や個性が政治に色濃くにじみ出るという点ではなかろうか。

 私は胡錦濤時代の2003~12年を北京で過ごした。大学生のころから官僚主義的な共産党システムのなかで、激しい競争を勝ち抜いていくことを義務付けられる共産主義青年団出身のリーダーは、往々にして“弁が立つ”と言われる。

 胡錦濤、李克強、汪洋、胡春華……。

 共青団出身の申し子であるこの4人を含め、共産党内の会議においても自らの見解を論理立てて主張する傾向にある。その場に同席する人間を自らのロジックで説得しようとすることで快楽を得ようとする本能は、いわゆる“エリート”に共通している。

 一方で、胡錦濤政権を振り返ってみると、公の場で、目に見える政治の現場において、胡錦濤が自らの色を出そうとしたり、前任者たちとは異なった風貌やスタイルで政治をやろうとする様相ではなかった。あくまでもひとりの高級官僚として、集団決定を重んじつつ、そつなくこなす、というイメージが強かった。

 「胡錦濤も李克強もよくしゃべる割には行動力に欠ける。理論ばかりばらまいても、実際に局面を切り開いていく肝っ玉が据わっていない。習近平は違う。政治局の会議でもじっと黙って同僚たちの意見に耳を傾け、安易に意見せず、最後に机を叩いて決定する。そして、迅速に行動に移す。思いついたらすぐに実行するのが習近平のやり方だ」

 “中国を統治するのに最も適したリーダーはガリ勉ではなくマフィアだ”、という持論を一貫して主張する太子党関係者は、共青団出身の代表格である胡錦濤・李克強と太子党の代表格である習近平の人物像のギャップをこのように比較する。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

「加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ」

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