5月下旬、上海の友人夫婦が訪日旅行に旅立った。彼らは初めての海外旅行に日本の関西を選んだ。60代の両親は「日本に行けばいじめられる」と反対したが、この“80后”と呼ばれる1980年代生まれの若い夫婦は、全く意に介していなかった。端午節(5月31日~6月2日)の連休を利用して、会社の同僚夫婦と4人で大阪行きを計画、飛行機もホテルも自分たちで手配した。10日後、彼らは「京都・奈良の歴史散策を楽しんだ」と喜んで帰ってきた。

 彼らは結婚間もない共働きのサラリーマン夫婦だが、仕事や家庭も安定した今、ようやく海外旅行を志向する余裕が出てきた。「あれこれ目的地を検討したが、アジアで安全なのはやっぱり日本だ」と決めたという。大阪を選んだ理由は「京都・奈良のゲートだから。古都を訪ねたかった」。大都市の生活に飽きた中国の若者の、異空間を求める旅である。

「次回は両親を連れて行きたい。それまでに日本語会話を練習しておきたい」。どうやらこの若い夫婦は、すっかり日本にハマってしまったようだ。

多数が「自己手配型」旅行を選択
人気都市ランキングでは大阪が10位に

 中国の旅行専門のシンクタンク、中国旅行研究院がこのほどまとめた資料は興味深い。今年の端午節では、多くの中国人が「自己手配型」の旅のスタイルを選択したという。ネットを駆使してフライトやホテル、交通手段や入場券などを予約するやり方だ。“端午節”は“児童節”(子どもの日・6月1日)と併せた形で三連休となったため、「子どもが楽しめる家族旅行」という性格も強く表れた。

 人気の目的地は、定番の香港、マカオ、台湾だが、それに韓国と日本が加わった。中国国内を含む個人旅行で人気の都市ランキングは、1位が海南島三亜、2位香港、3位上海だが、10位に大阪がランクインしている。また、個人旅行・団体旅行にかかわらず、中国人が訪れた外国の満足度調査では、1位カナダ、2位フランス、3位ニュージーランドと来て、日本は9位に食い込んだ。実際、中国人が好む“目的地”は韓国、タイ、マレーシアなのだが“満足度”ベストテンにはいずれもその名はなく、アジアでは唯一、日本がランクインした形だ。