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安東泰志の真・金融立国論

TVドラマ「花咲舞」のように
銀行で「お言葉を返す」とどうなるか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第47回】 2014年7月4日
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昨年放送された「半沢直樹」に続き、同じ作家である池井戸潤氏が原作のドラマ、「花咲舞が黙っていない」の放送が終わった。主人公の杏が演ずる花咲舞の決め台詞は、「お言葉を返すようですが」であるが、さて実際の銀行でそれは通用するのだろうか。筆者は、そもそも、そんな言葉が話題になるような現状では、金融立国など覚束ないと考えている。

「花咲舞」が人気を博した理由

 筆者は、連載第37回で、「体験的検証!ドラマ半沢直樹の虚実」と題して、ドラマ「半沢直樹で描かれた銀行員の実態について、実体験を織り込みつつ少し突っ込んで論じた。これに対しては、メガバンクのごく一握りの役員からは猛烈な反発があったと漏れ聞いたが、その一方、掲載後すぐにフェイスブックの「いいね!」が1000件を超すなど、一般読者からの圧倒的な支持を感じた。また色々な銀行の先輩や後輩からも「匿名を前提に」ではあるが、驚くほどの支持をいただいた。

 その記事での筆者の結語は、「日本の銀行のカルチャーが、正論が通り、横並びではなく革新的な言動が評価されるように変わることこそ、金融立国の第一歩だと信じている。一度しかない人生、行員諸君は不正義に目をつぶるのではなく、行内ポリティックスの困難に打ち克ち、半沢直樹のようにスカッと正義を貫いてほしい。そういう後輩たちが続々と出てきて、日本の銀行のカルチャー変革が成し遂げられることを大いに期待したい。加えて、銀行界でも導入が進んできた社外取締役など外部の人材が、彼らの正義を擁護してくれることを祈ってやまない」というものであった。

 ドラマ「花咲舞」は、小さな支店が主な舞台となっており、銀行用語が飛び交う特殊な世界を描いていたにもかかわらず、多くの視聴者からの支持を得た。その理由は、やはり、理不尽な圧力に屈することなく、まさにスカッと正義を貫く主人公の姿勢が評価されたからだと思われる。ドラマの終盤では、行内ポリティックスの権化のような真藤常務にも臆せず、日々真面目に働いている銀行員を代弁して物申すシーンが出てくるので、見ていて気持ちがスカッとしたという視聴者もさぞ多かったことだろう。銀行員だけでなく、一般のサラリーマンにとっても、上席に物申すことは、とても勇気が要ることだけに、視聴者は銀行関係者以外にも広がっていたのであろう。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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