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安東泰志の真・金融立国論

みずほの「委員会設置会社への移行」は英断
この決断は経済界の体質転換の糸口となるか

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第46回】 2014年6月5日
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昨年12月26日、みずほフィナンシャルグループ(以下「FG」)は、ガバナンスの高度化についての取り組みを発表し、その中で、委員会設置会社への移行を表明した。直接のきっかけが子会社による暴力団関係者への融資が社会問題化したことであるにせよ、保守的な体質で名を馳せてきたメガバンクの一つが委員会設置会社を採用するのは画期的なことだ。しかし、経済界は必ずしもこの改革を評価していないようだ。みずほの決断は、銀行界、ひいては経済界を変える契機になるのだろうか。

なぜ、みずほは英断と言えるのか

 子会社による暴力団への融資が表面化し、金融庁から行政処分を受けたみずほフィナンシャルグループは、委員会設置会社への移行を含むガバナンス改革を表明し(図)、かつ、本年4月22日には、6月に予定されている株主総会での承認を前提とした役員人事案を公表した。

 委員会設置会社については、連載第15回で詳しく触れたが、「取締役会の中に、社外取締役が過半数を占める指名・報酬・監査委員会を置く株式会社」のことだ。指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選解任に関する議案内容を決め、報酬委員会は取締役および執行役の個人別の報酬内容等を決める。また、監査委員会は、取締役および執行役の職務が適正かを監査し、会計監査人の選解任を決める。この制度は、連載第42回で解説した、米国型の「モニタリング・モデル」を実現するものだ。すなわち、「取締役会に期待される最も重要な役割は、役員、特に経営トップの解・選任を基礎とする業務執行の監督である」という考え方を基本とするもので、この考え方は米国を中心に世界に広く浸透しつつある。

 この考え方に基づく場合、取締役会では、必然的に、業務執行を行なう人物(業務執行役員)との利益相反がない社外取締役、それも、より要件が厳しい「独立取締役」が重要な役割を果たす。米国では、取締役のうち、業務執行役員を兼務する人物はCEOだけというケースが珍しくない。みずほFGが発表した人事案では、取締役会の構成は社内7人・社外6人と拮抗しているが、議長を政策研究大学院教授の大田弘子氏とするほか、指名・報酬委員会は社外取締役だけで構成する案になっており、概ね米国型ガバナンスを踏襲したものとみてよかろう。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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