ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

株価に天井感が出た米国はバブルなのか?
米株価を追いかける日本の不安
――熊野英生・第一生命経済研究所
経済調査部 首席エコノミスト

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第141回】 2014年7月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

米株価に天井感
囁かれるたびにバブル懸念?

 日経平均株価が上昇することに、アベノミクスの評価が反映されていると言われるが、本当のところは米株価の動向次第なのだろう。ダウ株価は、雇用統計の発表後、1万7000ドル台をつけ、リーマンショック前のピーク水準を抜いた。しかし、その勢いは続かずに一旦は下落する展開になっている。

 一方、日本株はどうか。グラフに並べた通り、日経平均株価とダウ株価は微妙に連動している(図表1参照)。日経平均株価は、レベル感は異なるが、2012年秋以降はダウの水準を追い駆ける展開になっている。

 目下の注目点は、今後、日経平均株価が追いかけるダウが継続的に1万7000ドルの大台を抜いて、さらに上昇していくかどうかである。2014年秋にも、テーパリング(資産買入縮小)が終了すると見込まれる。その後、次なる利上げは、2015年中のどこかになるだろう。

 FRBは米経済拡大ペースを見極めてから、慎重にテーパリング後の展開を示唆していくのだろう。その点は、多くの金融関係者がイエレン議長に信頼を置いている。折しも、4、5月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で28.8万人も増えた(4月、5月の当初発表は同数)。

 ともに20万人程度の増加予想を大きく上回り、かつインフレ懸念を間近に感じさせない内容だったことが、株価上昇を促した。金融緩和をゆっくりと縮小させれば、雇用拡大ペースが強まって、株価は上昇基調を続ける予想が蓋然性を増したということであろう。

 それでも、米株価上昇が1万7000ドルを達成して足踏みしたことは、潜在的な不安を象徴している。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧