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田中秀征 政権ウォッチ

なぜ集団的自衛権関連法案の今秋審議は見送られたか
安倍政権は“国際公約化”の先行を急いでいる!

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第241回】 2014年7月10日
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国際公約を盾にする安倍政権の思惑

 7月8日、安倍晋三首相はニュージーランドに続きオーストラリアを訪問。同国議会で演説を行った。そこで首相は、集団的自衛権行使容認の閣議決定を説明、オーストラリアに理解を求めた。

 一方で政府は、集団的自衛権行使の関連法案の提出を来年の通常国会に先送りすることを決めた。

 当初の予定であった今秋の臨時国会での法案審議・採決を断念したのである。

 その理由としては、秋の福島知事選、沖縄知事選への影響、来春の統一地方選への影響などが指摘されている。あるいは、年内に消費税10%への引き上げの判断もしなければならない。そのことも政府をためらわせているようにも見える。

 もちろん、さまざまな理由が重なって先送りしたのであろう。それは認める。

 だが、そんな消極的なものかと言えば、決してそうとは言えない。

 安倍首相は、国会での審議や選挙による国民的議論より、閣議決定の“国際公約化”の先行を図っているのではないか。民意をないがしろにする日本外交の実態が露わになっている。国際社会や諸外国に声高に宣言することによって、「国際公約だから」、「国際信用に関わる」と言いながら既定の方向に突進する。反対する民意を無視している印象だ。これも外務省の既定のシナリオだろう。

 そもそも国際公約は、官僚の常套手段である。首相をうまく取り込んで、海外で発言させて引き返すことができなくする。消費税増税もTPP参加も、首相の海外での発言による国際公約が決定的な出発点となった。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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