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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

署名縦覧を盾に議員らがビラで暗黙の圧力?
町長リコール運動をめぐる川島町住民の狼狽

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第102回】 2014年7月15日
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渦中のベネッセばかりではない
行政も肝に銘じるべき個人情報保護

 見知らぬ会社から自宅にDMが送りつけられて、喜ぶ人はそういない。いぶかしく思うのが普通の感覚だ。その内容がこちらの生活ぶりや家族構成などを把握しているようなものであったら、なおさら気分は良くない。「大事な個人情報が流出しているのでは」と、不安に思うはずだ。

 約760万件もの顧客情報が外部に流出したベネッセの一件は、まさに驚天動地の出来事である。個人情報の管理は厳重・厳格でなくてはならず、多様な個人情報を扱う行政機関もその例外ではない。

 日本は一党独裁の国ではなく、主権在民の民主国家である。1人1人の主権者が選挙や直接行動などで意思を示すことによって、政治の方向性を決定していく。誰かの鶴の一声で全てが決まるような社会の仕組みにはなっていない。

 民主国家にとって何よりも重要なのが、投票や署名などにおける「自由と秘密の堅持」である。1人1人の主権者は、自分の自由意思によって投票や署名を行うことができ、その秘密も守られる。投票した先によって不利益を被ったり、批判されたりするようなことはあってはならない。「そうした目に遭うかもしれない」といった不安を抱かせるような行為も許されない。

 そうでなかったら、怖くて誰も自分の意思を示せなくなるからだ。それでは、主権在民は「絵に描いた餅」となってしまう。主権者の投票や署名などにおける「自由と秘密の堅持」の2点が崩れてしまったら、もはや民主国家とは言えない。

現在の川島町役場

 埼玉県川島町で現在、住民グル―プによる町長解職請求(リコール)の署名集めが展開されている。1ヵ月に渡る署名期間の最終日は7月18日で、残り4日となった。小さな町で始まった町長リコール運動の状況を探りに、現地に足を運んだ。

 「人の目を気にする土地柄で、怖くて署名できないという人が多い。反応は前回と全然違います」

 険しい表情で語るのは、リコール署名を集めている住民グループ「川島町の将来を考える会」の岡部巌・代表だ。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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