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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

住民投票を反故にした市長が選挙前に引退表明!?
市庁舎騒動の鳥取市で起きた「本当にひどい話」

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第83回】 2013年12月3日
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鳥取市で本当に起きた「ひどい話」
民意を翻したあげく戦線離脱とは――。

 これほどひどい話はないのではないか。全国の自治体の取材を続けている筆者も、今回は腰が抜けたかと思うほど驚かされた。

 明確に示された民意を実行に移さず、その責任を取らぬままポストに居座り続け、民意に反する重大な方針転換を主導した直後に、突然の引退表明である。そんな市長の無責任で住民を愚弄するような行動が、許されるのか?

 住民はもとより、梯子を外される感のある職員や議員たちも憤懣やるかたなしではないだろうか。そんな思いが募ってならなかった。

 鳥取市の竹内功市長が11月26日、任期満了に伴う来春の市長選に出馬しないことを表明した。旧建設省(現国土交通省)のキャリア官僚だった竹内市長は、2002年4月の市長選で初当選し、鳥取市長に就任した。

 その後当選を重ね、現在3期目。年齢は61歳で、来春の市長選で4選を目指すことが確実視されていた。竹内市長を支持する人もそうでない人も、誰もがそう信じて疑わずにいた。特別の事情があったからだ。それだけに鳥取市内はよもやの不出馬表明に大揺れとなった。

 実は、鳥取市は大きな懸案事項をずっと引きずっていた。老朽化し、耐震強度に難のある市庁舎の整備問題である。移転新築か耐震改修かで市を二分する激論が続き、住民投票の実施となった。

 結果は耐震改修となったが、市は民意の具体化に動き出さなかった。逆に「住民投票で多数を占めた耐震改修案は実現できない」とし、新築移転を柱とする市庁舎整備の全体構想(素案)を11月8日に発表したばかりだった。

 こうした市の動きを主導したのは、市庁舎の新築移転を「百年の大計」と位置付けた竹内市長である。つまり、住民投票で示された民意を握り潰し、それとは異なる新築移転の素案を作成させたご本人が、新庁舎問題が最大の争点となる市長選の直前になって、戦線離脱を表明したのである。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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