インターネット時代のメディアがどうあるべきかについては、依然として議論が耐えないが、アメリカではすでに成功モデルがいくつか見られる。その1つとして特に注目を集めているのが、ヴォックスメディア(Vox Media)だ。
2013年のヴォックスメディアのユニークビジター数は月間7290万人。コムスコアによると、前年度からの成長率は88%で、他のインターネットメディア会社に差をつけて、もっとも成長を遂げたサイトということになっている。
ヴォックスメディアは、複数の専門化したメディアサイトを傘下に抱えている。それらをまず紹介しよう。
「NBネーション」はスポーツをカバーするサイトで、ライブのスポーツ試合の際に、テレビ画面を観る視聴者が手元のセカンドスクリーンでアクセスすることを狙っている。野球、フットボール、バスケットボール、ゴルフ、カーレースなど、ありとあらゆるスポーツをカバー、他のファンとの交流やチケットの入手も可能だ。
「ザ・ヴァージ」はテクノロジーの専門メディアで、新製品情報、業界の動向だけではなく、調査報道や鋭い分析も特徴。1ヵ月に1万7000本(2013年11月)ものニュースをアップするパワフルなサイトだ。
他にも、コンピュータゲームに特化したニュースサイトの「ポリゴン」、レストランと食情報の「イーター」がある。後者は、ただの人気スポットを追うだけでなく、食に対する科学的な視察も魅力だ。
「カーブド」は不動産とインテリアデザインのニュースを合体させたユニークな切り口で、全米各都市でも展開している。「ラックト」は、ファッションとショップガイドのサイトで、こちらも都市ごとにサイトを運営している。
さらに「ヴォックスドットコム」は、エズラ・クライン氏をワシントンポストから引き抜いて作ったサイトだ。クライン氏はワシントンポストで「ウォンクブログ」という人気の政治・政策ブログを書いていたが、運営とスタッフ拡大の交渉で同紙と決裂し、今年初めヴォックスメディアに移った。
4月にスタートしたヴォックスドットコムは政治だけでなく、幅広く社会問題や世界情勢を扱うサイトになっており、今やワシントン関係者が読まねばならないサイトの1つとされている。