スマートフォンでネットニュースを束ねる「ニュースアプリ」の人気が高まっている。その大手の1社がグノシーだ。順調に会員数を伸ばすなか、KDDIからの出資を受け、国内ユーザー拡大と海外展開を同時進行する勝負に出ている。創業メンバーでありグノシーの技術をけん引する福島良典氏と、マーケティングを中心にビジネス全般を統括する木村新司氏の両共同最高経営責任者に聞いた。(取材・文/ダイヤモンド・オンライン編集部 原英次郎、指田昌夫)
ニュースアプリは
「ロボット vs 人力」の戦い
――グノシーを作ったきっかけは、なんだったのでしょうか?
福島 大学生のときに抱いた「もっと自分に近いアプリがほしい」という思いからでした。ネットには情報があふれていて、見たい情報がすぐに見つからない。スマホから無駄な情報を消して、自分に必要なものだけに素早くアクセスできるアプリがほしかった。それが原点です。
自分は大学で統計解析の研究をしていたため、ニュースの内容を解析して自動的にオススメを選ぶことができれば画期的だと思い、同じ研究をしていた仲間と3人でアプリの開発を始めました。
サービスの基本は、ニュースのカスタマイズです。グノシーは、1日に4回スマホに最新のニュースを配信しています。自分用にカスタマイズした「マイニュース」は1日2回更新で、個々のユーザーの興味に合った記事一覧を提供しています。
グノシーの特徴は、記事の選定に言語解析と人工知能の技術を用いていて、人手を介していない点です。従来の主要なニュースサイトやアプリは、編集者の経験で記事を選んできました。グノシーは、ユーザーの行動から自動的に選ぶところが違います。人を介していませんが、まるで人が選んだようなきめの細かなコンテンツを出せることがポイントです。
木村 ニュースアプリ、ニュースサイトの世界は、「ロボット」対「人」の戦いになっています。たとえば「NAVERまとめ」は、ユーザーという“人”がまとめるサービスで、「ヤフートピックス」も社内のエディターが編集するサービスです。それに対してグノシーは、コンテンツの中身をロボット(プログラム)が解析して記事内容を判断し、ユーザーの興味関心にあわせてリンクを表示しています。
福島 多くの記事の内容を解析するには、いわゆるビッグデータの技術が必要です。私を含めた創業メンバーの3名は、大学時代にその研究をしていた仲間で、現在のグノシーのコアの技術を担うデータサイエンティストです。新たに採用しているエンジニアも、データ分析の素養をもつ人材を中心に集めています。