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「引きこもり」するオトナたち

教師のいじめ、病院のセクハラ、ブラック企業に就職
自殺未遂を繰り返した女性が表に出るまで

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第208回】

 「引きこもりに限らず傷ついてきた人たちというのは、一般社会の集団原理や常識、社会通念が受け入れがたくて排除されてきた人たち。なのに、彼らが集まった時にその集団の中でまた、批判対象の性質そのものを無意識に再現している場面に頻繁に遭遇する。傷つけられた記憶に縛られて、自分で自分を縛りつけている。

 集団にとって一番大切なのは、主義主張が合うとか似た経験を持っているとか、そういうことではなく、自分を尊重し、全く同じように他人を尊重するということ。その大前提が守られない場で本音を言うと意見が違うというだけで袋叩きにされる。その繰り返しに絶望するんです」

 そう明かすのは、これまで当事者として自分に向き合い続け、「両目を開いて生きる」「人は二度生まれる」をテーマに、ブログや講演等で発信を始めた伊藤美鳥さん。

 「(ふだん話をしている相手に)理不尽な発言をされて訂正しても、年上だからというだけで咎めず立てなきゃいけないとか、間違った儒教社会みたいなものを感じる」

 そんな集団原理になじめなくて、美鳥さんは孤立し、何度も引きこもった。

 皆がやっていることは、自分の弱さを攻撃に変えているだけなのではないか。何か違うと思った。

 どことも馴染めず、行きついた先でも本音を吐けないとなれば、黙るしかない。そうなると、自分を殺すのと一緒だ。

 自分ができることをやって、聞いてくれる人に伝えたい。こんな世界ばかりではないということを自分でも再確認したいと思った。

 急きょ、美鳥さんは8月3日(日)の午後に東京都内で、講演会とオフ会の開催を決めた。

 「いちかばちか、今やるしかないと思いついたその日に、いきなり会場を探して、取っちゃたんです」

 今回の会場を抑えたのは、7月後半に入ってからだ。

 「主義思想を語る以前の話として、人を尊重せずに何が本音か?と思う。私は、互いの尊厳が守られないのは嫌だというところはハッキリしているんです」

 講演タイトルは「雨に生きる」という本質的なもの。いまの価値観をつくってきたものや、自分が見聞してきた経験が中心だ。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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