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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

権限拡大した議会で許されぬ“第二の号泣県議”の登場
来年の統一地方選で誰を選び、誰を選ぶべきでないか

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第104回】 2014年8月5日
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「号泣県議」の登場が号砲に?
負のスパイラルに落ち込む地方議会

 国会議員が衆参合わせて722人なのに対し、地方議員は全国に3万5000人あまりいる。総数がケタ違いに多いので、地方議会の中におかしな人物が紛れ込んでしまうことはあり得る。不祥事を起こす不心得議員が現れても、そう不思議な現象ではない。それはある程度の規模の組織・集団が抱える共通の課題とも言える。

 しかし、最近はそんな寛容なことを言っていられるような状況ではなくなっている。それにしてもひど過ぎるからだ。

 まるであの兵庫県の号泣県議の登場が号砲となったかのように、全国各地で地方議員の御乱行が表面化している。不祥事の種類と量、度合いはこれまで以上のもので、地方議員の劣化の進行がうかがえる。地方議会全体がいまや負のスパイラルに陥っているように思えてならない。

 地方議会は本来、住民にとって身近な存在だ。取り上げられる課題も、日常生活に密接に関連した具体的なものばかりである。地元で暮らす議員とはお互い顔の見える関係をつくりやすく、遠い存在の国会議員とは明らかに異なる。住民にとって、日常的に会話を交わせる近しい存在のはずである。

 そんな身近な議員を選ぶ地方選挙で、最近3つの特異な現象が顕著となっている。1つは立候補者の激減である。議員定数を上回るだけの立候補者が現れず、無投票となる異例の事態が続出している。つまり、議員が選挙なしで選ばれる特異な現象が広がっているのである。

 たとえば、2011年4月に行われた統一地方選挙だ。41道府県議選挙が実施されたが、無投票当選者は全体で410人に達した。そのときの総定数が2330人だったので、無投票当選率はなんと17.6%。県議のほぼ5人に1人が選挙なしで選ばれた計算になる。

 逆に言えば、県会議員を選ぶ機会を持てずにいた住民がたくさん生まれたということである。なかでも無投票当選率が最も高かったのは島根県で、県議の総定数37のうち7割を上回る26議席が無投票だった。また、自治体の中には議員選挙が四回連続して無投票に終わったというところさえある。

 2つ目の現象は、選挙が実施されても候補者が少なくて、落選者がごくごく一部に限られる事例が増えていることだ。定数を1人か2人上回る程度の候補者しか現れず、しかも、票を開ける前から選挙結果が読める「少数凡戦」の常態化である。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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