45万部突破の人気シリーズ最新刊、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?[不正会計編]』が7月17日に発売になりました。ヒカリと安曇教授のコンビが、今度は粉飾や横領という不正会計の問題に挑みます。その出版を記念して、同書のプロローグから第2章までを、全5回に分けてご紹介いたします。

コンサルティングの目的はさまざま

「では、コンサルティングの作法について説明していこう」

 安曇は、太い万年筆でヒカリのノートにスラスラと書いた。

1 目的と成果物の明確化
2 (ステップ1)外観………………決算書分析(財務分析)
3 (ステップ2)香り………………担当者への質問
4 (ステップ3)味わい……………現地調査による事実の収集
5 結論

「ワインのテイスティングの目的は、その質の鑑定だ。だが、コンサルは契約によって目的は異なってくる。そこで、最初に目的と成果物を明確にしておくことから始めなくてはならない」

「たとえば?」

 ヒカリにはイメージが湧かない。

「特定の会社を買収しようとする場合、投資家は、その会社の価値が果たして投資金額に見合うかどうか知りたいと考える。また、倒産寸前の会社の社長は、再建するもっとも効果的な方策を知りたいはずだ。ときには、密かに不正を働いている社員を見つけて欲しいといった依頼も舞い込んでくる。ことほど左様に目的はさまざまだから、コンサルを始める前に依頼者の意図をしっかりと把握することが大切だ。そして、目的に沿った成果物、つまり報告書を作成することだ」

 ビジネスコンサルトといってもいろいろあるんだなあ、とヒカリは感心した。