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餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?[不正会計編]
【第4回】 2014年8月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
林 總 [公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)]

第2章
一流コンサルタントになりたければ、
ワインのテイスティングを学べ

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45万部突破の人気シリーズ最新刊、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?[不正会計編]』が7月17日に発売になりました。ヒカリと安曇教授のコンビが、今度は粉飾や横領という不正会計の問題に挑みます。その出版を記念して、同書のプロローグから第2章までを、全5回に分けてご紹介いたします。

片道切符

 ヒカリのニューコンへの入社を祝うため、安曇教授が予約したのは、渋谷駅から坂を登ったところにあるワインレストランだった。

 目立たない店で、やっとたどり着いたときは約束の時刻を少し回っていた。

 「遅れてすみません」

 ヒカリは安曇の前の席に腰を下ろすと、ため息をついた。

 「もう、やめたくなりました」

 「どうしたんだね」

 「先生、聞いてくれますか。私、ニューコンに入りたくて先生のゼミも、インターンシップも頑張ったんです。でも、働くのはタイガーコンサルティングとかいう、聞いたこともないコンサルティング会社なんです」

 安曇はわずかに首をひねった。

 「つまり君はニューヨークコンサルティングに採用されなかった、ということなのかね?」

 「いいえ」と言って、ヒカリはもらったばかりの社員証を安曇に見せた。

 「入社したのはニューコンです。でも半年間は研修という名の試用期間で、その研修先がタイガーなんです」

 ヒカリは、ガックリと肩を落とした。

 「片道切符なんです」

 「つまり、一度出向したら二度と戻れないということか」

 「虎の穴って、呼ばれていて、ここに送られた新入社員はほとんど途中で退社するそうです。もう、やめたくなりました」と言ってヒカリはうなだれた。

 「そうそう君に言わなかったかもしれないが、ボクの教え子がニューコンの社長をしているんだ」

 「前原社長ですね。安曇ゼミだったんですか?」

 「素晴らしく頭のいい学生だった。ただ線が細くて、組織のリーダーになれるような男ではなかったんだが」

 「そうなんですか…」

 ヒカリには、安曇が何を伝えようとしているのか想像もつかなかった。

 「ゼミのOB会で聞いたんだが、新入社員で正規に採用するのは5割だと言ってた」

 入社を許可された10人のうち、半分は落とされるのだ。

 「それから実際にニューコンの戦力となれるのは、2、3人だそうだ。そんなに厳しくして優秀な人材が育つのか。ボクには疑問だけどね」

 安曇の話をヒカリは上の空で聞いていた。明日にでも退職願を出そう。早くやめれば、来年度も第二新卒として就活できる。グズグズしている場合じゃない。

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    林 總(はやし・あつむ) [公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)]

    1974年中央大学商学部会計科卒業。外資系会計事務所、監査法人勤務を経て独立。経営コンサルティング、執筆、講演活動などを行っている。 主な著書に、ベストセラーとなった『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『[新版]わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話しをしよう』(中経出版)、『会計物語 会計課長団達也が行く』(日経BP社)、『貯まる生活』(文藝春秋)などがある。

    著者ホームページ:http://atsumu.com/

     


    餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?[不正会計編]

    菅平ヒカリは、念願だった大手コンサルティング会社へ就職する。しかし、実際に配属されたのは、その提携先でブラックと噂されるコンサルティング会社だった。しかも、半年の研修期間中に一定の成果を出さないと、元には戻れないという。 「こんなのあり?」――。入社早々、やる気を挫かれたヒカリだったが、そんなある日、売上が増えているのに赤字から抜け出せない会社を調査する案件にアサインされる。先輩の村西と一緒に調べて行くと、そこには、決算書からはわからなかった驚きの事実が浮かび上がってくる――。ヒカリと安曇教授のコンビが、会社にはびこる粉飾や横領などの不正会計の問題に挑み、解決していくストーリー。

    「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?[不正会計編]」

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