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野中郁次郎のリーダーシップ論 ― 史上最大の決断

【特別版】日本の敗戦から69年目に想う<前編>

野中郁次郎 [一橋大学名誉教授]
【第9回】 2014年8月15日
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『史上最大の決断』の発売から2ヵ月が過ぎた。この間、3回の増刷を重ねることができたのは、読者のみなさんのご支援があってのことと深く感謝している。69回目を迎える8月15日の終戦記念日を前に、今回は第2次世界大戦について振り返ってみたい。

次世代経営者の課題

 このところ、本や論文の執筆に注力していて、講演はなかなかお引き受けできないのだが、最近、『史上最大の決断』に関する講演を行う機会が2度あった。1つは国内で開催された次世代経営者の育成プログラムで、もう1つはハワイで行われたフォーラムである。

一橋大学名誉教授 野中郁次郎

 次世代経営者向けには「史上最大のリーダーシップ」という観点から、非凡なる凡人であるドワイト・D・アイゼンハワーについて話した。経営を学ぶ場で歴史を学ぶことに抵抗があるかと心配したが、参加者のみなさんにはいろいろ共感するところがあったようだ。

 まず、第2次大戦のヨーロッパにおける戦いについて説明したのだが、聞いてみると、史実について何も知らないという人が多かった。日本軍の戦いについては、真珠湾やガダルカナルの戦いなど、断片的には知識があるものの、ヨーロッパ方面の戦史についてはほとんど知識がなく、初めて知って驚いたと言う参加者もいた。フランスがドイツよりも強大な軍隊と経済力を持ちながら、わずか6週間の戦いの末ナチスの軍門に下ったことや、史上最大の作戦としてノルマンディー上陸戦が行われたことを説明すると、みな一様に、欧州戦線はこんなにも興味深いものなのかと、率直に感銘を受けていた。観念論過多の今の日本はあの時のフランスのようではないか、という指摘もあった。 

 しかし、戦史のリアリズムを感じただけではなかったようだ。次世代経営者の中には、チャーチルのようにカリスマ性がある偉大な現在の経営トップをいかに乗り越えるのか、という大きな課題を背負う人たちもいる。その点、フォロワーからリーダーになった凡人のアイゼンハワーには、その課題解決のヒントがあるという確信を得たように見受けられた。

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野中郁次郎 [一橋大学名誉教授]

1935年東京生まれ。早稲田大学特命教授。58年早稲田大学政治経済学部卒業後、富士電機勤務を経て、カルフォルニア大学バークレー校経営大学院博士課程修了(Ph.D)。南山大学、防衛大学校、一橋大学、北陸先端科学技術大学院大学、一橋大学大学院国際企業戦略研究科で教鞭を執る。紫綬褒章、瑞宝中綬章受章。知識創造理論の提唱者であり、ナレッジ・マネジメントの世界的権威として、米経済紙による「最も影響力のあるビジネス思想家トップ20」でアジアから唯一選出された。さらに2013年11月には最も影響力のある経営思想家50人を選ぶThinkers50のLifetime Achievement Award(生涯業績賞、功労賞)を受賞。近年は企業経営にとどまらず、地域コミュニティから国家までさまざまな組織レベルでのリーダーシップや経営のあり方にも研究の場を広げている。主な著作に、『失敗の本質』(ダイヤモンド社)、『アメリカ海兵隊』(中央公論新社)、『知識創造企業』(東洋経済新報社)など。

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野中郁次郎のリーダーシップ論 ― 史上最大の決断

『失敗の本質』から30年。経営学の世界的権威・野中郁次郎が、リーダーシップ研究の集大成の対象に選んだのは、「凡人たる非凡人」にして第2次大戦の活路を拓いた連合軍最高指揮官アイゼンハワー。「史上最大の作戦」で発揮された意思決定(Judgement)の本質を説く。

「野中郁次郎のリーダーシップ論 ― 史上最大の決断」

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