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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

総務省の行政指導で再燃するNTT2010年分割の現実味

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第17回】 2008年2月22日
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 総務省は18日、NTT東日本(東日本電信電話)とNTT西日本(西日本電信電話)の2社に対し、営業活動の是正などを迫る行政指導を発出した。顧客情報の目的外使用やグループ会社のサービスの優遇販売などが横行し、公正競争を阻害している可能性があると指摘したうえで、改善状況を今年度中に報告することを求めたのが、そのポイントだ。大手新聞各紙は、やや性急に、この指導を、「2010年の通信放送の法制の抜本改正やNTTの経営形態見直しの前哨戦だ」と位置づけ、早くも両者の対立を煽るかのような報道が目立っている。

 行政指導の根拠になったのは、総務省が電気通信事業法に基づいて昨年4月に導入した「競争セーフガード制度」だ。この制度は、電気通信市場の公正競争を確保することが目的で、今回に限らず、毎年、同様の検証を行い、問題があれば是正を図っていくことになっている。

 今回の場合、同省がソフトバンクやKDDI、電力系通信事業者といったライバルの事業者から問題の有無やその詳細に関するヒアリングを開始したのは昨年7月のこと。NTT東西の反論を踏まえた結果を公表して、再度のヒアリング期間を設けたうえで、「慎重に、今回の指導に踏み切った」(総合通信基盤局)と説明している。

新聞は総務省とNTTの
対立軸を強調するが

 ちなみに、今回、争点になったのは、ドミナント(支配的な事業者)であるNTT東西が保有する稀少なボトルネック設備の問題に関連する23項目と、ドミナントのNTT東西だけが禁じられている行為(禁止行為)に関連した62項目だった。このうち、前者は、NTT東西が次世代通信網(NGN)の導入を計画しており、現行のままではボトルネック設備の指定そのものに過不足が生じてくるとの見方が多かったため、総務省は情報通信審議会で審議し見直し策を詰めていく方針を打ち出した。

 一方、禁止行為の関連では、①NTT東西や、その県域子会社(都道府県ごとに設立されているNTT東西の100%子会社、NTT東で21社、NTT西で16社が存在)が光ファイバー網の営業活動において、NTTコミュニケーションズのサービス「OCN」だけをセットで推奨するちらしを作成して配り、他社サービスと不当な格差を付けている疑いがある、②ボトルネック設備を接続によって開放する際に、ライバル事業者から得た顧客情報を、自社のサービス勧誘に利用している疑いがある、③県域子会社はNTTドコモ商品も不当に優遇している疑いがある、④NTT東西の役員が県域子会社の役員を兼任し、実質的に経営が一体化しており、公正競争が阻害されている可能性がある――などと指摘。是正や報告を求める行政指導を行った。

 ①に反論して、NTT東西は、他社のサービスを推奨するちらしも作成しているが、販売店がOCNを推奨するものを積極的に活用しているだけだなどと反論した模様。だが、総務省では、NTT東西の意向が販売店の判断に影響を及ぼしている疑いが濃いとみて、行政指導を断行したという。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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