ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
コンサル取扱説明書 コンサル業界のリーダーと経営者たちが語る理想と現実
【第7回】 2014年9月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
並木裕太

事業会社に挑戦したいコンサル出身者は
経済合理性を捨ててパッションで動こう

1
nextpage

平均勤続年数は約3年とも言われるように、コンサルティング業界は人の出入りが激しいことで知られる。コンサル出身者は人材としてどう評価され、採用する側はどんな活躍を期待しているのだろうか。中途採用を積極的に実施するなかで、コンサルタント出身者の採用・活用にも一日の長があるヤフー株式会社の川邊健太郎取締役副社長に聞いた。(構成:日比野恭三)

並木 今回はコンサルタントたちの人材活用をメインに伺いたいのですが、その前に、そもそもヤフーはコンサルティング・ファームと仕事をする機会は多いのでしょうか。

川邊 正直なところ、めったに使いませんね。私の知る限り、戦略の分野では1回しかありません。企業買収を検討した時に、買収額が妥当かどうかという価値算定と、買収した後の戦略立案を外資系の大手コンサルティング・ファームにお願いしました。

並木 満足度はどうでしたか?

川邊健太郎(かわべ けんたろう)1974年生まれ。1996年12月電脳隊取締役、99年9月同代表取締役社長、同年12月ピー・アイ・エム株式会社取締役就任。2000年8月ヤフー株式会社入社、Yahoo!モバイル担当プロデューサー、2007年1月Yahoo!ニュースプロデューサー、2009年5月株式会社GyaO代表取締役、2012年4月最高執行責任者執行役員兼メディア事業統括本部長、同年7月副社長最高執行責任者兼メディアサービスカンパニー長、2014年6月取締役副社長最高執行責任者常務執行役員(現任)。

川邊 結果的には買収しないという判断に至ったんですが、極めて限られた時間の中で膨大な調査をよくこなしてくれました。やはり数千億円規模の価値算定になると、どこまで緻密に考えられるかが非常に重要になります。我々の気づかないところを指摘してくれたり、海外の事例を調べてくれたり、素晴らしい働きだったと思います。

並木 では今後、コンサルに戦略を頼んでみようというお考えは?

川邊 残念ながら、そうはならないでしょうね。うちの場合は、戦略がないことが重要なんですよ。

並木 ないことが重要……とは?

川邊 なぜなら、企業を取り巻く状況は変わるじゃないですか。コンサルティング・ファームが立派な戦略を作ってくれたとしても、ネット業界では1年後にはすっかり環境が変わってしまうことがよくあります。今後、コンサルティングをお願いすることがあるとすれば、具体的なトピックがあって、その点に関して力を貸してほしい時に限られてくるのではないでしょうか。

並木 まさに今回の買収案件のように。

川邊 そうです。まず自分たちがやりたいことは何か、その中で自分たちではできないことは何かをはっきりとさせておくこと。それから、コンサルティング・ファームの機能をよく理解しておくこと。そういうポイントを発注者がきちんと押さえておかなければ、依頼してもあまり機能しない可能性が高い。難しい問題が出てきた時に、「とりあえずマッキンゼーやボスコンに相談してみましょう、そうすれば何かいい解決策が出てくるはず」という発注者がいるとすれば、それは単に担当者が楽をしようとしているだけだと思います。もちろんコンサルティング・ファームはそれなりの提案をしてくれるでしょうけど、その会社がもつ文脈や企業文化を反映したものにはなりえない。

 例えば私たちは、2012年に経営陣を一新して、スマートデバイスへのシフトを図ろうと改革を進めてきています。このとき「爆速経営」を理念に掲げ、「課題解決」「爆速」「フォーカス」「ワイルド」という4項目からなるヤフーバリューという行動指針を策定しましたが、これはコンサルティング・ファームに頼んでも絶対に出てこないと思うんです。やはり企業戦略には、企業がもつ暗黙知であったり、何に燃えるのかというエモーショナルな部分が反映されるべきであって、誰かに作ってもらうものではない。

 私たちの場合は、コンサル出身者をインハウス化していますから壁打ちの相手は社内にいますし、コンサルティング・ファームを使うにしてもうまくバリューを引き出せる体制になっています。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
まいにち小鍋

まいにち小鍋

小田真規子 著

定価(税込):本体1,100円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
簡単で安くて、ヘルシー。ポッカポカの湯気で、すぐにホッコリ幸せ。おひとりさまから共働きのご夫婦までとっても便利な、毎日食べても全然飽きない1〜2人前の小鍋レシピ集!「定番鍋」にひと手間かけた「激うま鍋」。元気回復やダイエットに効く「薬膳鍋」や、晩酌を楽しみたい方に嬉しい「おつまみ鍋」など盛り沢山!

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


並木裕太 

 

フィールドマネージメント代表取締役。1977年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。ペンシルヴェニア大学ウォートン校でMBA取得。2000年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。09年にフィールドマネージメントを設立、現任。日本航空をはじめ、ソニー、楽天といった日本を代表する企業の経営コンサルティングを務める。著書に『ミッションからはじめよう!』『日本プロ野球改造論』『ぼくらの新・国富論』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)。

 


コンサル取扱説明書 コンサル業界のリーダーと経営者たちが語る理想と現実

戦略系コンサルティング・ファームは、世界中の大企業や政府・公共機関の戦略立案に深く関与し、多大な影響力を行使する頭脳集団です。しかし、その仕事の実態や正しい活用法に関する理解はまだまだ浸透していないというのが実情でしょう。本連載では、ファームのトップ、そしてコンサルを活用する企業経営者双方の声に耳を傾け、業界の現状と正しい活用法を探っていきます。

「コンサル取扱説明書 コンサル業界のリーダーと経営者たちが語る理想と現実」

⇒バックナンバー一覧