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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

時間泥棒、高い報酬だけが問題ではなかった!
「老害役員」が緩やかに導く“組織の死”

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第2回】 2014年9月2日
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時間感覚は現役世代の6分の1!?
時間泥棒と化す老害上司

 先日、とある上場企業で「偉い人」の対応に追われる知人から泣き言を聞かされた。「上司が『老害』を振りまくために、仕事にならなくて困っている」と言うのである。私も以前、偉い人の“お守り”のような仕事をしていたので、彼の気持ちはよくわかる。昔よりだいぶマシになったような気もするが、今なお「老害」は多くの企業にはびこる厄介な病気の代表格である。

 では、彼が言う「老害」とは具体的に何なのか。

 「老害」にはいくつもの症状があり、その多くがまわりの人間を困らせるものだ。なかでももっとも大きな問題は、「無自覚に他人の時間を奪ってしまう」ということだろう。「ちょっと」と上司に呼び止められて、話が始まったらもう止まらない。強引に自説に持ち込んで、延々話しこんだ挙句にまったく関係のないところにたどり着く……。聞いているほうにとっては、悪夢のような時間だ。何か目的があるわけではなく、しいていえば「長話をありがたがって聞いてほしい」だけなので、辛抱強く話を聞く人が重宝される。きっと、私の知人もそうなのだろう。

 老害にかかると、時間の感覚は明らかに現役世代とズレてくる。こちらの1時間が、本人には10分くらいにしか感じられないのだ。しかも、日本企業の多くは“偉くなるほど暇になる”構造である。10分だと思って1時間をムダにしたところで、彼らにはさしたる実害がない。「もうこんな時間か」と感じるだけである。そのせいで、他人の時間を「何度も」「無自覚に」「無意味なことに」使わせてしまうのである。残念ながら、本来ビジネスに回されるべきエネルギーの多くが老害対応に回っている。

新しいものを拒絶
老害は会社全体のチャンスも奪う

 もうひとつの大きな問題は、「新しい技術や自分のやり方・考え方から外れたことに拒否反応を示し、まわりの成長をも阻害する」ということだ。もちろん、新しい技術や考え方への拒否反応は、人間の防御本能が引き起こす当然のものである。新しいからといってよく考えもせずに飛びつくのではなく、「本当にいいものなの?」と疑ってかかる慎重さもある程度は必要だろう。

 ただ、老害にかかっている人たちは、「自分が知らないからダメ」と、それこそよく考えることもなく拒否をしてしまう。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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