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China Report 中国は今

縮小する上海オフィス市場で、
101階建て森ビルが一人勝ちする理由

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第16回】 2009年1月8日
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 上海のオフィス市場が冷え込んでいる。07年末には4.6%にまで落ちたオフィスの空室率(A級オフィス(*1))も、08年第3四半期には11.2%にまで上がった。

 08年10月以降、上海の日系企業の業績もたちどころに悪化した。「顧客である自動車や家電のビッグネームが予算を削り始めた」と上海の不動産仲介会社が嘆くように、どの企業もコスト削減の対象にするのは駐在員の住宅予算であり、オフィス賃料だ。

 過去4年間の平均空室率は5.8%。2000年以降、上海のオフィス市場は拡大一辺倒をたどってきた。社員数の増加とともに、たちどころに手狭になるオフィス。上海の日系企業も上海経済の成長の勢いに乗り、業務拡張とともに年々オフィスを拡大させてきた。

 だが08年10月に入ると空気が一変する。「オフィスの移転は少なくなり、契約を更新してとどまるケースが増えてきました。あれほど強気だった貸し手も、今は賃料をかなり下げています」(前出の不動産仲介会社)。オフィスを移転させれば内装工事も伴う。その費用もバカにならない今、企業は現状維持を選択する。

 金融街として知られる上海市浦東新区、ここに林立するオフィスビルの第3四半期の賃料は7%に下落した(「第一財経日報」)とされているが、取引の現場からは「08年12月は同年5月に比べて20%も落ちた」と悲鳴が上がる。そんな縮小ムードの中で、森ビルの101階建ての世界最高層(*2)ビル「上海環球金融中心(以下SWFC)が10月25日に正式開業した。

SWFC好調の理由は
「ライバルがいない」から?

 延べ床面積38万1600m2、101階のうちオフィス部分は62フロアを占める。SWFCが上海のオフィス市場にもたらした床の広さは22万6900m2と、東京ドームの面積のおよそ5つ分に相当する。

 08年8月28日、森ビルはSWFCの内部公開に先立ち記者会見を行ったが、この時点で日本企業11社、欧米企業6社、アジア・その他の企業8社、合計25社の入居が決定していた。当初は「上海環球金融中心」というビル名のごとく、証券会社や投資銀行などの金融機関を欧米7割、日系3割の比率で集める予定だったが、今のところ欧米系はその比率に達していない。金融機関は、日系では銀行2行、証券1社、投資コンサル1社、保険2社、欧米系では銀行3行、アジア系では銀行2行、ファンド1社となっている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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