アメリカ・ソルトレイクシティを本拠地とする世界規模の人材コンサルティング会社、O・C・タナー・カンパニー。同社が保有する世界最大規模のデータベースから明らかになった「いい仕事」をする人の極意とは? 9月19日に刊行された書籍 『500万人の成功体験からわかった「いい仕事」をする人の45の極意』から、内容の一部を紹介していく全4回の連載です。

名前を知らない人などいない超有名起業家、世界的企業のエグゼクティブから、名もない営業マンや病院の清掃員、カメラマンやデザイナー、スポーツ選手まで、ありとあらゆる職業を網羅した500万件を超えるデータベース。そして、200人に対する長期にわたる徹底インタビュー。かつてない規模で行われた大規模調査から見えてきた真実とは――

「いい仕事」をする人の極意2:与えられた課題をくつがえしてみる

 仕事で課題を与えられたとき、どうするか?

第2回:携帯電話の生みの親 マーティン・クーパー<br />与えられた課題をくつがえしてみる<br />みずから発明した携帯電話を手にするマーティン・クーパー(ゲッティイメージズ)

 「いい仕事」をする人と「合格点の仕事」で満足する人では、与えられた課題に対するアプローチがまったく違うことがわかっている。「いい仕事」をする人は、課題を与えられたら、そのまま取り掛からずに、課題を一度くつがえしてみる。「この課題で本当に解決したいことは何だろう?」「この課題の本質はどこにあるのだろう?」といった時間をおいて考えてみるのだ。

 これを見事にやってのけたのが、携帯電話の生みの親、マーティン・クーパーだ。

 1970年代、マーティーことマーティン・クーパーは電気技師としてモトローラ社で働いていた。いまでこそモトローラといえば最先端の技術で知られているが、マーティーが入社した1954年当時、同社は巨大なテクノロジー企業AT&Tの陰でもがく中小企業にすぎなかった。

 最初の15年間、マーティーは医療機関向けのポケットベルや腕時計用の水晶振動子、世界初の小型警察無線をはじめとする携帯式通信装置のためのさまざまな技術の開発に携わった。マーティーは着実に昇進を重ね、1970年代前半にはモトローラ社のコミュニケーション・システム部門の統括マネジャーに就任した。