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デジタル流行通信 戸田覚

マイクロソフトの「Office無料化」で
見えたクラウド戦争の“勝者の条件”

戸田 覚 [ビジネス書作家]
【第87回】 2009年8月10日
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 IT業界が風雲急を告げている。世界同時不況によって、業界のあり方が変わって再編が進むという人もいるが、個人的にはちょっとした引き金に過ぎないと考えている。

 IT業界全体が、ある意味での“踊り場”に来ているのではないだろうか。

 1995年頃から家庭にインターネットが普及し始め、爆発的な勢いでPCや関連製品が売れた。同時にハードウェアのスペックが向上を続けて行ったのは、ご承知の通りだ。

 ところが、ここへ来てこれまでの成長路線にかげりが見え始めている。

 相変わらずハードウェアメーカーは高性能をウリにするが、ネットブックが市場を破壊し始めたように、実はユーザーのニーズは、それほど高い性能にはないのだ。

 それは、「Microsoft Office」もしかり。「Office」はバージョンを上げるほど機能を追加・向上して来たが、そろそろ画期的な新機能を追加するのが難しくなっている。

 現実的には、全体的なインタフェースを変更して、全く新しい「Office」を作るのは難しい。そこが、王者であるマイクロソフトの辛いところだ。

 それは、あまりにも普及が進んでいるために、操作性を変えるとユーザーが怒り始めるからだ。また、ファイルが標準化しているのも痛し痒しだ。バージョンの垣根を越えて、ある程度の読み書きができないと、やはりユーザーは怒り出す。

 そんながんじがらめの状態で、魅力的な新機能を追加するのは非常に苦しい。

Windows Live Workspace
「Windows Live Workspace」では、ブラウザー上でオフィスのファイルを開いて確認できる。
Googleドキュメント
「Googleドキュメント」は、ファイルを編集できるが、「Microsoft Office」形式のファイルでは互換性がやや心許ない。

 だが、次に登場する「Office」は、ウェブ上でのオンライン利用が可能だという。つまり、全く別の使い方で、慣れ親しんだ「Office」が提供されるというわけだ。すでに「Googleドキュメント」が実現している「ブラウザー上でファイルを開いて編集する機能」を持つという。

 しかも、「利用は無料」だと言うから驚く。ただし、フル機能を使う「Office」は、従来同様、PCにインストールすることになり、こちらは有料のままだ。

 実は、マイクロソフトは「Windows Live Workspace」ですでにオフィスファイルをアップロードして管理する仕組みを提供しており、「PowerPoint 2007」のファイルもちゃんと表示できる。

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戸田 覚[ビジネス書作家]

1963年東京生まれ。ビジネス書作家、コンサルタント。株式会社アバンギャルド、有限会社戸田覚事務所代表取締役。ハイテク、パソコン、成功する営業のコツ、新商品開発、新事業開発といったテーマを中心に、執筆、出版プロデュース、講演、コンサルティングに携わる。ビジネス誌、パソコン誌、情報関連雑誌をはじめとして多数の連載を抱える。
著書に『あのヒット商品のナマ企画書が見たい!』『プレゼンの極意を盗め!』(以上、ダイヤモンド社)、『すごい人のすごい企画書』(PHP研究所)、『仕事で使える!クラウド超入門』(青春出版社)、『LinkedIn人脈活用術』(東洋経済新報社)など多数がある。
著者ブログ:http://www.toda-j.com/weblog/
株式会社アバンギャルドHP:http://www.avant-garde.jp/


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