愛されないグーグル株、強まる割安感Photo:picture alliance/gettyimages

 米グーグル親会社のアルファベットの将来に不透明感が強まる中、自主的に会社を分割すべきとの提案もアナリストからは聞かれる。ただ実態を見ると、意外なほどの上昇余地がある。

 アルファベットに対しては、市場を独占しているとして米国と欧州の当局から厳しい視線が向けられている。同社が苦境に陥っている大きな要因がそこにあることは明らかだ。

 米国ではここ1年の間に連邦裁判所がグーグルについて、検索エンジンと広告ソフトウエアそれぞれの市場を独占しているとの判断を下した。こうした独占禁止法を巡るいずれの訴訟も、最終的にどのような処分となるかははっきりしない。欧州では同社は、携帯情報端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」を巡り独禁法に基づく43億3000万ドル(約6300億円)の制裁金支払いを命じられ、これに異議を申し立てている。また、欧州連合(EU)のデジタル市場法を巡る締め付けも強まっている。

 アルファベット株主のもう一つの大きな懸念となっているのは、検索市場で約90%に達するグーグルのシェアに対し、米オープンAIと同社の対話型AI(人工知能)「チャットGPT」が脅威をもたらしていることだ。消費者と企業は情報源とインターネットの入り口としてAIへの依存を強めており、直近四半期でアルファベットの売上高の約60%を占める検索事業を脅かす存在となっている。

 また、グーグルの自動運転部門ウェイモが先行するロボタクシー市場では、米電気自動車(EV)大手テスラが食い込みを狙う。テスラはテキサス州オースティンで最近、ロボタクシーの運行を開始した。この事業はまだ初期段階ながら、同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)にふさわしい大きな野心が込められている。

 こうした状況を考えると、投資家がアルファベットに厳しい評価を下しているのも納得がいく。年初からS&P500種指数が6%上昇する一方、アルファベットは8%下落している。AI分野のライバルである米マイクロソフトと米メタ・プラットフォームズはいずれも約20%上昇している。