週刊ダイヤモンドの今週号に掲載された、『増加する大人の発達障害~職場はどう向き合うべきか~』という16ページにわたる大特集の取材執筆に携わった。
おそらく活字週刊誌で、雇用の現場に向かって、「大人の発達障害」への理解と対応の入門編を、特集としてこれだけ大きく取り上げたのは、初めての試みだったのではないか。
当連載でも、これまで「大人の発達障害」の話題をたびたび掲載してきた。
中でも、2010年3月の「成績優秀なのに仕事ができない“大人の発達障害”急増の真実」の記事には400万以上、2012年2月の「成績優秀なのに仕事ができない“大人の発達障害”に向く仕事、向かない仕事」の記事にも、100万を超えるアクセスが寄せられている。それだけ「大人の発達障害」は、身近な問題として関心が高いのだろう。
同じ発達障害でも全く異なる
「アスペルガー症候群」と「ADHD」
いま改めて取材してみると、“職場のトラブルメーカー”や“困った人”として見られがちな「大人の発達障害」という概念も、少しずつ整理されてきたように思える。
発達障害とは、生まれつき脳機能の発達に偏りがあるために、社会性、コミュニケーション力、想像力の欠如など、様々な特性が際立ってしまうという疾患だ。
大きく分類すると、アスペルガー症候群などの「自閉症スペクトラム(ASD)」や、「注意欠陥多動性障害(ADHD)」、「学習障害(LD)」がある。
ところが、世間では発達障害というと、いまもアスペルガーのイメージだけで捉えられていることが多いという。
アスペルガーには、コミュニケーションや対人関係、社会性の障害、パターン化した行動、趣味・関心の偏り、不器用といった特性があり、ADHDは、不注意(集中できない)、多動・多弁(じっとしていられない)、衝動的に行動するという違いがあるといわれる。ただ、そうした能力の凸凹からくる特性は個人差が大きく、同じ障害があると診断された人同士でも、似ていないように見える。大人になったらなくなるという間違った解釈もされてきた。