「ネット取引に対する業界の反発は、まるで医薬品の議論のときと同じだ」(関聡司・新経済連盟事務局長)
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今年6月の改正薬事法の施行により、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売が解禁されて約3カ月。ネット取引をめぐる争いは大衆薬から不動産へと舞台を移し、ネット解禁派と反対派による対立が白熱しつつある。
争点は、宅地建物取引業法に定められている重要事項説明(重説)だ。不動産取引の契約時には宅地建物取引主任者が重説を行う必要がある。現在は対面で行わねばならず、ネットなどの非対面の方法は認められていない。
だが、国土交通省は今年4月、「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」を設置。今年末までに最終取りまとめを策定することになった。
すでに3回の検討会が開かれたが、ネット解禁派の中心である新経済連盟(新経連)と、反対派である不動産の各業界団体は互いに主張を譲らず、「議論は平行線をたどっている」(検討会のメンバー)。
新経連が主張するのはネット活用による利便性の向上である。
現在は物件を下見した後、再び重説のために不動産業者と対面する必要がある。だが、ネットが認められれば、距離的・時間的な制約がなくなる。特に遠方への転勤や時間的制約がある人の場合、重説などの手続きをネットで行えれば負担は大きく軽減するだろう。