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住友商事の巨額損失が物語る“商社夏の時代”の終焉
「資源ビジネス」はこれからも本当においしいのか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第346回】 2014年10月7日
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変調をきたす最後の成長事業「資源」
住友商事の巨額損失に見る夏の時代の終焉

 最近、わが国を代表する大手商社の様子がおかしい。その背景には、今まで大手商社の業績を支えてきた、ドル箱とも言うべき資源ビジネスに陰りが見えていることがある。

 資源ビジネスを成長戦略の核としてきた大手商社各社だが、シェールオイルなどの資源事業に関する投資リスクが浮き彫りになりつつある。

 住友商事は、シェールオイルを中心とする新型原油開発の失敗などで投資資金の回収が難しくなったとして、2015年3月期の決算において、2700億円という巨額の減損損失を計上すると発表した。それを受け、純利益を2500億円から100億円に大幅下方修正した。

 同社ばかりではない。2014年3月期には、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅などが、軒並み資源関連の事業で数百億円の減損を余儀なくされている。そう した事態に対して経済専門家の間からは、「資源ビジネスを背景にした、大手商社の“夏の時代”は終焉した」との指摘が出ている。

 2000年代に入ってエネルギーなどの資源や穀物の価格は、多くの人口を抱えたBRICsなどの主要新興国の急成長に伴い、需要の拡大を背景に価格は上昇傾向を辿ってきた。それは、世界中に張り巡らした情報網と潤沢な資金を持つ大手商社にとっては、極めて有望なビジネスチャンスだった。

 機を見るに敏い商社がそのチャンスを逃すはずはない。大手商社は、一斉に資源ビジネスに参戦し、多額の収益を手にすることに成功した。しかし、“夏の時代”は永久に続くことはない。シェール関連などの新事業の開発の難しさに加え、新興国の成長鈍化などをきっかけに、資源ビジネスのブームに陰りが出てきた。それが今回、大手商社の業績に大きな痛手を与えることに繋がった。

 大手商社が資源ビジネスに注力する初期段階では、商品を安く買って、それを可能な限り高く売るという単純な手法だっただろう。ところが多額の資金力を持つ大手商社は、次第により大きな利益を求めて資源開発の段階から投資行動を行うようになった。商社の殻を破って投資会社へと変身していった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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