初歩的ミスで辞任した
安倍政権の華、小渕優子議員

女性初の首相候補とも言われていた小渕氏だったが――
Photo:Natsuki Sakai/AFLO

 10月20日、小渕優子・経済産業大臣が辞表を提出した。34歳で初入閣を果たし、40歳で二度目の入閣。将来は女性初の総理大臣も夢ではないと目されていただけに、衝撃は大きい。自身の資金管理団体から高級ブランドなどへの多額の支払いが見つかっただけでなく、有権者に対する「利益供与」とも見られる不明瞭な会計も発覚し、「世論を納得させられない」と辞任を判断した。

 一方、同日、松島みどり・法務大臣も辞意を表明した。自らの選挙区で「うちわ」を配布したことを国会で野党から追及され、公選法違反を指摘された。その後の失言もマスコミを賑わせ、事態をさらに悪化させてしまった。

 この相次ぐ2人の女性大臣の辞任の理由は、実は同じである。「有権者への利益供与」だ。あまり知られていないことだが、政治家は「モノをもらう」ことよりも「モノをあげる」ことの方が厳しく律せられている。

 それにしても、小渕優子議員は、小渕恵三総理大臣の娘であり、自身もTBSの記者を務めていた経験を持つ。若いとは言え、政治の「素人」では全くないはずである。松島みどり大臣も東京大学経済学部を卒業後、朝日新聞で政治部の記者として活躍しており、それくらいの見識が無かったはずはない。そんな彼女たちでさえ、「初歩的」とも言えるような過ちで辞任騒動を引き起こしてしまう。一体、政治の世界にはどのような魔物が潜んでいるのか。よほど制度が複雑なのか、強いしがらみがあるのか。

 筆者はマッキンゼーでコンサルタントとして働いた後、国会議員政策担当秘書として政治の世界へ飛び込んだ。与野党の国会議員事務所で働き始めて2年以上が経った。普段は国会事務所で委員会質疑資料作成や陳情処理などを担当しつつ、地元で選対本部長として選挙をマネジメントした経験も持つ。カネ勘定も含めた国政の「実務」を知る立場から、国会議員事務所のお財布事情と、有権者からは見えづらい、政治家の生態を解説する。