「小学生になれば一段落」ではない
長年の子育てで再就職を逃す女性たち

 新卒で就職はしたけれど、ライフイベントなどをきっかけに仕事と家庭の両立が難しくなった。だから一度、家庭に入り、子育てが落ち着いたら、再就職しよう。そんな風に考えている女性は、まだまだ多いようです。

 厚生労働省が行った「第10回21世紀成年者縦断調査」(平成23年)によると、結婚前に仕事をしていた女性のうち、正規雇用の人は64.2%ですが、結婚後には43.6%に低下してしまいます。また、仕事をしている女性の27.7%が結婚後に離職しているという現実もあります。

「正社員を捨てて家庭へ」は危険な罠だった!?<br />もう一度働きたい専業主婦が直面する過酷な現実参照:男女共同参画社会の形成の状況より(内閣府男女共同参画局)
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 これは、やはり働きながらライフイベントを乗り越えるのはなかなか難しいということを示していると思います。

 さらに20代から40代の女性が、結婚、出産、育児のために退職してしまう状況は、女性の年齢階級別労働力率が描くM字カーブをみても明らかです。1970年代に比べずいぶん改善されたとはいえ、いまだに女性の仕事と家庭の両立がうまくいっていないことを示しているといえるのではないでしょうか。

「正社員を捨てて家庭へ」は危険な罠だった!?<br />もう一度働きたい専業主婦が直面する過酷な現実参照:男女共同参画社会の形成の状況より(内閣府男女共同参画局)
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 年齢階級別労働率が30~34歳で谷になるのは、結婚や出産のタイミングで子育てや家庭に専念するために一度仕事をやめて、いずれ子育てが一段落したら、その時、また再就職をしたい人が多いからでしょう。彼女たちの再就職の理由としては、「収入を得る必要が生じたから」が一番多く、「知識や技能を生かしたいから」、「社会に出たいから」、「時間に余裕ができたから」と続いています。