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経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”

次期首相は、あえて「景気」と「財政」の二兎を追え

町田 徹 [ジャーナリスト]
【第42回】 2008年9月5日
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 福田康夫首相の突然の「政権放り出し宣言」をきっかけに、新たな政権作りが始まった。

 現在のところ、最も有力な政治スケジュールは、自民、民主両党の党首選を経た後、今月24日に臨時国会が召集され、遅くとも年内に解散・総選挙が実施されるというものらしい。解散までには、まず補正予算を審議・可決するのかどうか、仮に通すとすれば、中身をどうするのかといった点を巡り、与野党の鍔迫り合いが起きることも予想される。

 自民党の総裁選レースをリードしている麻生太郎幹事長が、この流れにうまく乗れば、目先の景気対策が経済政策の最大の柱になる可能性は強い。結果として、日本だけが時代遅れの「大きな政府」へ回帰するリスクも小さくないはずだ。これは、日本経済にとって最悪のシナリオの一つだろう。

 そこで今、我々選挙民にはやらなければならないことがある。それは、政治家に対し、将来の酷税を防ぐ「財政の再建」と、今日より明日に夢が持てる「経済成長」の二兎を追う力量のある指導者を求めているというメッセージを強く伝えることだ。

首相辞任は「総選挙」の
好機と期待したい

 今週初め、福田康夫首相が前任者と同じような中途半端な形で政権放り出しを表明したことは、経済界だけでなく、各方面に大きな失望感を呼ぶ“事件”だった。どうしても、あの安倍晋三前首相と同じように「無責任」と映る。しかも、米国の金融不安が一段と深刻化し、国内景気の後退色がさらに深まることは確実だ。

 先の総合経済対策をすべて実施するには、補正予算の成立は不可欠で、そのための臨時国会の召集も来週に迫っていた。そして、新聞やテレビが水に落ちた犬を叩くかのごとく、「無責任」「無責任」と論評するのだ。こうした状況を勘案すれば、突然の首相の辞任劇に、ある種の失望感が出てくるのは当然かもしれない。

 しかし、辞める首相に「無責任」と怒っても何の益もない。むしろ、参議院議員選挙で大敗したにもかかわらず、居座ろうとして失敗した安倍晋三前首相だけでなく、そのあとを受けて緊急登板した福田首相も「総選挙の洗礼」という信任手続きを踏んでいないため、永田町・霞が関における指導力をまったく確立できず、それぞれがほぼ1年にわたって迷走を続けた事実こそ思い出すべきではないだろうか。

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町田徹 [ジャーナリスト]

1960年大阪府生まれ。神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒。日本経済新聞社に入社後、記者としてリクルート事件など数々のスクープを連発。日経時代に米ペンシルバニア大学ウォートンスクールに社費留学。同社を退社後、雑誌「選択」編集者を経て独立。日興コーディアルグループの粉飾決算をスクープして、06年度の「雑誌ジャーナリズム賞 大賞」を受賞。「日本郵政-解き放たれた「巨人」「巨大独占NTTの宿罪」など著書多数。


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