ダイエットに少しでも興味がある人なら、「希少糖」(レアシュガー)の存在を耳にしたことがあるだろう。希少糖とはその名の通り、「自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体」(国際希少糖学会の定義)である。

「希少でない」単糖にはぶどう糖や果糖があり、よく知られている希少糖にはガムなどでおなじみのキシリトールがあると言えば、わかりやすいかもしれない。

 キシリトールには虫歯になりにくい、カロリーが低いといった特長があるように、ある種の希少糖には食後の血糖値の上昇を抑える、脂肪の蓄積を抑えるなどの作用があるとされている。キシリトールがそうであるように、化学合成して大量に生産することができれば、公益性の高いビジネスとして成立する。

 日本における希少糖の研究は、その多くを香川県が担っている。

 香川大学には希少糖研究センターがあり、希少糖の生産、生理活性に関する産官学連携の研究開発が進行中だ。国際希少糖学会も置かれているため、世界の希少糖研究の中心地と言っても過言ではなく、産官学連携の模範例である。希少糖を体系的に生産するシステム「イズモリング」も考案され、大量生産への道も拓かれた。そのため国内で「希少糖」と言えば、ほぼ後述のD-プシコースを指す。

 香川県の企業、株式会社レアスウィートが販売する「レアシュガースウィート」はこうした背景から誕生した製品で、天然のでんぷんからつくられた希少糖D-プシコースを約10~15%含んだ甘味料である。価格は500グラムで1200円程度。まだ取り扱い店舗は多くないが、通販ならば容易に入手できる。

 同社の製品説明によると、「夢の糖」「奇跡の糖」とも呼ばれるD-プシコースの特長は、「食後血糖値上昇抑制作用(糖尿病予防)・脂肪蓄積抑制作用(ダイエット)・動脈硬化予防作用(アンチエイジング)・血圧上昇抑制作用・抗酸化食後血糖値上昇抑制作用(糖尿病予防)・脂肪蓄積抑制作用(ダイエット)・動脈硬化予防作用(アンチエイジング)・血圧上昇抑制作用・抗酸化作用など数々の作用が報告されており、メタボリックシンドローム対策に期待される新たな機能性素材として注目されている」という、凄まじいものである。

 カロリーがゼロに近いがあくまで天然由来で、甘味は砂糖の7割程度という点にも注目だ。

 ならば、なぜD-プシコースの含有量をもっと増やさないのか、なぜ取り扱い店舗が少ないのか、という疑問も浮かぶところだ。

 前者については、価格帯の維持という理由もあるだろう。後者に関しては、大量生産が可能になったとはいえ、いまだに「生産が追いついていない状況」なのだという。

 つまり現状では(相対的には)、希少な存在のままなのである。流通量が少ないので、繰り返しメディアに取り上げられても全国的なブームにはなりにくい。

 そのあたりに「奥ゆかしさ」「本物感」が漂うのも、希少糖の特長と言えるかもしれない。いわゆるブレイク直前の状態を維持し続けている、希な存在だ。

(工藤 渉)

参考URL:

レアシュガースウィート(株式会社レアスウィート)
http://www.raresweet.co.jp/raresweet/htm/

一般社団法人 希少糖普及委員会
http://www.raresugar.org

香川大学 希少糖研究センター
http://www.kagawa-u.ac.jp/rsrc/